新型インフルエンザをめぐり、医療機関からの遺伝子検査を拒否して感染を拡大させた福岡市で、またしても市民無視のふざけた実態が明らかとなった。保健福祉行政の根幹を揺るがす事実に関係者から批判の声があがりそうだ。
これまで、新型インフルエンザに対応するため厚生労働省が都道府県や政令市に対し出した「新型インフルエンザに係る症例定義及び届出様式について」という通知の内容から市保健福祉局の不作為について報じてきた。同通知は、今年4月から5月末まで5回にわたって出されたが、福岡市が通知に明記された医療機関への「周知」もしくは「周知徹底」を図っていなかった実態が、データマックス取材班が福岡市に対して情報公開請求して入手した文書や市保健福祉局への取材から明らかとなった。
5回の「通知」について、市保健福祉局保健予防課長に、確実に「周知」もしくは「周知徹底」をしたのかどうか確認したところ、「2回は記憶にあるが、あとは調べなければ分からない」と言い出したため、市側の対応が分かる文書を開示請求していた。
公開された文書の日付や内容によれば、今年4月29日、5月9日、5月13日、5月22日、5月24日の「通知」に対応して、福岡市が医療機関に対し出した文書は、事実上2回に過ぎなかった。市側は4種類の文書を「周知」の証拠文書としているが、2種類は4月30日付けのものであり、他は5月20日、5月25日に保健福祉局長から各医療機関の長あてに出されていた。4月30日付けを除いては、厚労省から「通知」が出された当日もしくは翌日に対応したケースは無く、市から医療機関への連絡が遅れたか、もしくは「周知徹底」を怠った可能性が高い。
その理由について、担当職員から説明を受けたが、「重要な変更とはいえないと考えた」「次の通知が出てからまとめて周知しようということになった」などと、身勝手な理由を並び立てる。愕然となったのは「あくまでも2番目」としてあげた理由を聞いた瞬間だった。
(つづく)
【市政取材班】
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