新型インフルエンザの対応で厚生労働省が出した「新型インフルエンザに係る症例定義及び届出様式について」と題する「通知」について、福岡市保健福祉局が事実上、関係医療機関に対し「周知」を怠っていたことが明らかとなった。通知が出されてから周知まで数日かかったケースや、全く周知しなかったものもあった。
市保健福祉局は、その理由として「重要な変更とはいえないと考えた」「次の通知が出てから周知しようということになった」としているが、もう一つの理由としてあげたのは「経費の問題も考えて」というものだった。あきれた感覚である。人命に関わる国の通知を、「経費がかかるから」との理由で先送りしたというのだ。
保健福祉局が言う経費とは、通知を周知するための医療機関への一斉FAXのこと。確認したところ、一斉FAXの送付先である医療機関の数は約1,500程度であるという。新型インフルエンザについての重要な国の通知を、数万円の経費を惜しんで見送ったということになる。
福岡市はこれまで、新型インフルエンザの対応について「厚生労働省の方針」に従っていることを強調してきたが、福岡市自体がその厚労省の通知を軽く見ていたことになるうえ、現場の医師らに必要な情報伝達を怠った責任は重い。何より市民の命がかかる問題で不作為を繰り返し、「経費」をその理由にあげるようなことは絶対に許されるものではない。
【市政取材班】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら