福岡市が進めるこども病院人工島移転について、またしても不適切な実態が明らかとなった。
市は、新病院のPFI事業について、当初6月議会に関連議案を提出するとしていたが、先月になって急遽、事業内容の変更を検討していることが判明。議案提出を9月に延期し、事業者公募も取りやめていた。PFI事業内容を大幅に減らし、ゼネコンが手を上げやすいものに変えることが予想されるが、こども病院人工島移転に、事実上の黄信号が灯ったものと注目されていた。
データマックス取材班が福岡市に対し、PFI事業変更の方針を決めた時点の方針決定にかかる文書を情報公開請求したところ、開示されたのが次の文書である。ただし、この文書は請求の趣旨とは合致しない。
起案日は5月26日、決済は29日である。地元紙がPFI事業変更について第一報を報じたのが27日朝刊。26日の起案内容が、決済前に一部メディアに「漏れた」ということになる。つまり市職員によるリークということだ。
問題は、今回開示された文書以前、つまり、PFI事業の内容変更に着手した時点での決済文書である。今年3月にPFIの「実施方針」を公開している以上、見直しや変更は簡単に手をつけられる事務ではない。誰が、いつ、どのような理由で見直しを命じたのかについては、政策決定過程を知る上で最も重要なことであり、市側に説明責任がある。もちろん局長、副市長、市長の承認がなければできることではない。しかし、市側は請求に対し、該当する文書がないと言い出したのである。
市の重要施策であるこども病院人工島移転については、どこまでも胡散臭さが付きまとってきた。突然のPFI事業内容変更も、現地建て替え工事費の水増し問題同様、その決定過程に疑惑が生じたことになる。
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