4月30日に民事再生法適用を申請し破綻した鈴木木材工業(株)(長崎県佐世保市)とグループ会社((株)諫早木材市場、伊万里外材(株))のスポンサーとして越智産業(株)が名乗りを上げるべく検討中だ。
鈴木木材工業(株)グループは、メイン工場の佐賀工場で主として住友林業向けのプレカット加工を手掛けており、住友林業の厳しいスペックをクリアできる技術精度を誇っている。
他にも、諫早木材市場、鈴木木材工業佐世保工場で在来工法向けプレカット加工を行なっている他、八女の福岡工場ではリース契約ながら佐賀工場に優る加工能力を保有している。
一方で、関連会社の伊万里外材(株)は大東建託向けを主体とする2×4(枠組壁工法)住宅向けのプレカット加工を行なっている。
越智産業は、傘下に西日本フレーミング(株)という2×4住宅向けプレカット工場を持っているが、生産キャパシティーが一杯であり、今回の話がまとまると、これまでのM&Aの成果が出ていないなかで大きな収穫となる可能性がある。
越智産業がM&Aに邁進している間に(株)市岡、(株)キューハウ、原田木材(株)
などが、毎年数億円もの最終利益を確保してきた。遅ればせに中国木材(株)(伊万里工場)への委託生産で在来工法プレカット加工分を対応してきたが、所詮中国木材の与信ヘッジ的な役割であり、得意先を繋ぎとめておくためだけの機能に過ぎない。収益への寄与度は低かったのである。
昨年来の住宅着工戸数の低迷にどの工場も苦戦しているが、これからは1ライン(月産1,500坪)程度の加工能力しか保有していない企業は、撤退を余儀なくされるであろう。
そういう意味で、越智産業の決断に各社が注目している。
【松 義毅】
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