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できなかった世襲制限、迷走する麻生自民党
政治
2009年6月 6日 09:44

 やっぱり自民党にはできなかった。5日、次の総選挙に向けて実施が検討されていた自民党の世襲制限に対する方針が固まった。同党の改革実行本部(武部勤本部長)は、世襲制限についての実施時期をぼかしたうえ、公募などで選ばれれば世襲候補でも公認するとの内容をまとめた。「世襲制限はやりません」と同義である。こんなものをマニフェストに盛り込むという神経は理解できない。有権者をバカにしているとしか言いようがない。
 
 世襲制限の実施を言い出した菅義偉選対副委員長や武部氏は、直前まで「やる」と言っていた。おかしくなった原因は、小泉元首相の次男(神奈川11区)の処遇をめぐる問題だったと見られるが、そんなことは織り込み済みだったはずだ。
すでに党の内規で同一選挙区での3親等以内の親族への世襲禁止を決めている民主党に対抗し、自民党もやる気があるところを見せたかっただけなのだろう。本気でやろうとする意思は、なかったと見るべきなのかもしれない。自民党らしい結末である。

 世襲制限に関しては、党総裁である麻生首相はまったく動こうとしなかった。自身が世襲議員の代表格であるだけに、制限を設けること自体に反対だったと見られる。それなら、早い段階で「議論の必要なし」とリーダーシップを発揮しておけば良かったのだが、相変わらず他人事に終始した。自民党内には「世襲制限などやれば有能な人材を失いかねない」とする意見があるが、それほどの人材なら他の選挙区から立候補しても有権者から認めてもらえるだろう。同一選挙区でしか戦えないという時点で、「七光り」に過ぎないのだ。
 世間から見れば、麻生首相は典型的な「七光り組」である。安部、福田そして麻生と続いた七光り組が、日本の政治を混乱させたという現実を、自民党はもっと真剣に考えなければならない。迷走する麻生自民党は、有権者を甘く見ているのではないだろうか。
                                    
秋月

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