方向性を失い、漂流する福岡市役所の現状を危惧する声が高まっている。こども病院人工島移転をめぐっては現地建て替え費用の水増し問題に加え、新病院のPFIについても突然の事業内容変更が明らかになるなど混乱が続く。「政策決定過程」に疑惑を生じさせるケースが相次いでいるのである。
その他にも、ロボスクエアの不正経理や、博多港国際ターミナルの指定管理者選定に関し、JR九州と市幹部あるいは選定委員との不適切な関係が判明するなど、市民を裏切る事件ばかりだ。
県政界関係者からは「福岡市の凋落ぶりは目を覆うばかりだ。かつては県と五分で渡り合っていた政令市が、いつのまにか県より格下になってしまっている。(空港問題の)記者会見から退場させられた吉田市長の姿は象徴的だった。職員もやる気をなくしている。
市職員のやる気を引き出し、市民に希望を与える市政に転換しなければ大変なことになる」との厳しい指摘も。
ある市OBも「今の市長のあいだは何をやってもダメ!議会・職員・そして市民からも見放された市長が、何を言っても白々しく聞こえるだけ。公約を守らない政治家の言うことを聞く人間なんているはずがない。市民も不幸だが、職員もかわいそう」とバッサリ。
市長選挙で吉田市長を推薦した民主党内からも、次のような意見が聞こえてくる。「公約を守らない吉田(市長)さんのおかげで『マニフェストを軽視する民主党』との見方が広がりつつある。さらにまずいのは、民主党の市議団が、市民の敵とも言われる吉田さんを支えて、ひんしゅくを買っていること。このままでは、福岡1・2・3区の総選挙の候補者を直撃する」
一方、市民からは「福岡市議会は何をやっているんだ。こども病院をはじめ問題が明らかになるのはいつも報道によってではないか。工事費水増しも去年には分かっていたのに、議会は人工島移転をやすやすと決めた。能力のない議員に民間以上の給料が必要なのか」
「議会は機能していない。野党である自民・公明・みらい福岡は、なぜ吉田市政を続けさせるのか。なぜマスコミより早く、不正や税金のムダ使いを指摘できないのか?」と、ふがいない議会への批判が上がる。市長、議会、ともに市民の期待に応えていないということだろう。市役所全体が方向性を見出せずに漂流しているような状態だ。
すでに県政界では「吉田後」をにらんだ動きが始まっている。全ては総選挙の後ということになるが、職員のやる気を引き出し、市民の信頼を取り戻したうえで、「日本一元気な福岡」を実現できる人材が求められる。大都市福岡の漂流は4年間で終わりにしなければならない。
【市政取材班】
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