福岡を代表する特産物として名高い明太子。しかし、近年、個人消費の低迷から売れ行きが落ち込み、明太子製造業者の倒産も相次いでいる。
昨年の暮れ、「博多まるきた」が民事再生法の適用申請を行ない、今年5月29日には福岡市南区の「徳永」ほか1社が自己破産申請。6月1日には、マスコミにも登場していた北九州市八幡東区の「平塚明太子専門店」が民事再生法の申請を行なった。
このような中、明太子業界の不振を助長しているのが“切れ子”の存在であるという話が聞こえてきた。“切れ子”とは本来、贈答用に作られている明太子の製造過程で皮が破れたものや、形が崩れてしまったものをまとめたものである。贈答用よりも2~3割安く、各種メーカーは“形は違うが味は変わらない”ことをウリにしている。安くて美味しい物を食べたいという消費者の意向もあり、近年は特に切れ子の売れ行きが良いという。「最近では、切れ子自体が一つの立派な商品になっています。贈答用をわざわざ切れ子にするメーカーもあるほどです」と言うのはある業界関係者。本来、無駄をなくすために生まれた切れ子を、わざわざ作ってまで売り上げを確保していることになる。本当なら業界の一つの課題だと思うが・・・。