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東京レポート

業績は絶好調も株価は冴えず 任天堂の大いなるギャップ(1)
東京レポート
2009年6月16日 13:23

 絶好調の任天堂に異変が生じた。2009年3月期連結決算は売上高が1兆8,386億円、純利益が2,790億円と過去最高。携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」の累計販売台数が1億台を超え、据置型の「Wii」も5,000万台を超えたことで、為替差損を吸収して好決算につながった。ところが、株価は低空飛行を続ける。このギャップを読み解く。

花札からゲームに転身 株価は最高値の3分の1

 任天堂の株価は今年1月6日に年初来高値3万6,800円をつけたが、その後は世界的大不況の影響で日経平均株価と歩調を合わせるように値を下げた。5月7日に発表した09年3月期決算は、営業利益、経常利益、純利益が過去最高で、期末配当も増配したにもかかわらず、この日は30円安の2万6,600円で終了。6月に入ってからも2万5,000円前後を推移している。
 任天堂に破竹の勢いがあった07年11月1日の株価は7万3,200円の最高値をつけ、時価総額は10兆円を超えた。時価総額10兆円超えは、トヨタ自動車(23兆円)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(12兆円)に次ぐ水準。瞬間風速とはいえ、とてつもない大記録である。現在の株価は、その3分の1。なぜか?
 任天堂の創業は1889(明治22)年。工芸職人、山内房治郎が京都で「任天堂骨牌」を創立、花札の製造を開始したのが始まり。花札の裏に大統領の印を押した「大統領印の花札」は賭博場でも使われた。日本で初めて国産トランプを製造したのも房治郎だ。
 「中興の祖」は房治郎の曾孫の溥氏(81)。山内家三代にして、念願の男の子である。幼児のとき、父親が出奔。母親からも離されて、祖父母の元で跡取りとして育てられた。祖父が買い与えた渋谷・松涛の豪邸から早稲田大学に通い、贅沢三昧の生活。祖父が病に倒れ、大学を中退し家業を継いだ。1949年、21歳の時だ。
 オイルショックで倒産の危機に直面した溥氏は、脱花札・トランプを目指し、テレビゲームに参入。83年、ファミコンが子供たちの間で爆発的な人気を呼んだ。「おもしろいソフトをつくる」娯楽会社に特化し、『世界のニンテンドー』へと大変身を遂げた。
 「彼は任天堂の社長に向かない」。溥氏は後継者と目されていた娘婿の荒川實氏を解任した。荒川氏は、米国任天堂社長として海外市場を開拓した立役者。イチローが活躍するシアトル・マリナーズの買収に動いたのも荒川氏だ。実績は申し分なかった。だが、倒産の危機を経験して借金することの惨めさを痛感した溥氏は、多額の資金を使って市場開拓をはかる荒川氏と対立を深めたとされる。任天堂の謎といわれている事件だ。

~つづく~

【日下 淳】

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