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「エコカー」優遇策はエコなのか?
社会
2009年6月24日 08:28

 19日から、エコカー購入を促進させる補助金の受け付けが始まった。新車登録から13年を超えた乗用車を廃車にして2010年度燃費基準達成車へ買い替えた場合の補助金は25万円(軽自動車は12,5万円)。4月から始まった「エコカー減税」と組み合わせると最大で40万円減額されることになる。国を挙げてのエコを前面に打ち出した自動車購入奨励策は果たしてエコの促進になるのかどうか、その中身を見てみたい。
 
エコカー減税

 2009年度予算に2,100億円のエコカー減税(環境対応車普及促進税制)を盛り込み、国土交通省が定める排ガスと燃費の基準値をクリアした自動車の重量税や取得税を、基準に応じて50~100%減税するもの。国土交通省は「環境性能に優れた自動車に対する自動車重量税・自動車取得税の特例措置」と呼んでいる。「環境性能に優れた自動車」と言えば、車種がかなり限定されると思われがちだがそうではない。ハイブリッド車だけに限らず、対象となる車種は、普通車で62種、軽で16種にのぼる。
 減税率もハイブリッド車なら燃費に関係なく免税され、排気量が多く燃費が悪いにもかかわらず減税率が高くなる問題が出ている。たとえば、燃費24,5の「アルト」が50%g円税に対し、燃費11,2の「MPV」が75%減税、同じく12,2の「レクサス」が100%減税になっているのは、車体重量ごとに燃費基準が設定されているが、重量が重くなればなるほど基準が甘くなっているからである(国土交通省HP自動車重量税等の減免について参照)。これをみれば、高級車を買えるお金持ちに有利で、軽自動車や中古車しか買えない人たちには不利な減税策となっている。

エコカー購入補助

 09年度補正予算で盛り込まれたエコカー購入補助金制度の予算総額は3,700億円。この制度の趣旨について経済産業省は、「環境性能の改善が進んできた最新の車の需要減、自動車ユーザーの保有期間の長期化への対応は、環境対策の観点から重要。裾野の広い自動車産業の活性化は、景気の早期回復のためにも不可欠。」「環境性能の良い新車の購入促進策により、環境対策と景気対策を効果的に実現する。」としている。つまり環境対策と景気対策として購入補助制度を位置づけている。
 この制度は、13年以上使用した車を廃車し「2010年度燃費基準達成車」に買い替えると、普通車で25万円、軽自動車は12,5万円を補助するというもの。また廃車しなくても燃費基準(10年度プラス15%)を達成していれば、普通車で10万円、軽自動車は5万円を補助することになっている。経済産業省では、両方で280万台の補助を見込んでいるようだが、実際はどうなのか。九州経済産業局の担当者によれば、実際は100万台ぐらいになるだろうと取材に答え、「エコ対策よりも消費拡大対策」に政府の本音があるだろう」と付け加えた。この100台という数字は、世界的不況のなかでの自動車販売の落ち込んだ数字だと言う。つまり、落ち込んだ100万台を減税と購入補助で補うだけと言うのが実際のようだ。自動車工業会では、減税で31万台、補助金で69万台の需要を生むと見ており、どうやら100万台が優遇策の「効果」のようだ。
 こうしてみると、環境対策と景気対策には程遠いというのが実態ではないだろうか。4月以降も新車の販売台数は前年割れが続いており、明るい日差しには遠いようだ。

 問題はそればかりではない。
 地球温暖化対策が至上命題になっているときに、国を挙げて二酸化炭素排出量の2割を占める自動車の販売を促進させるのか、ということだ。高速道路のETC「千円乗り放題」や幹線道路建設に力を入れながら、他方、公共交通の整備、鉄道や路面電車など「クリーン」な交通体系の構築には殆ど見向きをしない政府の方針が問われていると言える。
 私たちが実感しているように、地方では公共交通が「採算が合わない」として切り捨てられ、地方に行けば行くほど車なしでは生活できないようになってしまっている。地方での大型量販店で駅前通などが「シャッター通り」と化し、車依存が深まっていく泥沼というのが地方の現実だ。
 日本版「グリーンニューディール」(麻生政権も謳っていたようだが)の一刻も早い構想・具体化、産業構造の転換が迫られている。
 今回の「エコカー」優遇策による、減税のつけは何処に行くのか。「千円乗り放題」の負担は結局、国民の負担となって返ってくるのではないだろうか。エコにもならず、景気回復の起爆剤にもつながらず、減税につけが私たちにくるというのでは、余りにも悲しい話ではある。

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