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有権者不在の東国原知事擁立劇
政治
2009年6月24日 11:35

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 23日、自民党の古賀誠選対委員長が東国原宮崎県知事に衆院選出馬を正式に要請した。宮崎県の選挙区ではなく、首都圏の比例代表候補なのだという。これほど有権者をバカにした話はないだろう。自民党の古賀選対委員長、そして当事者である東国原知事、双方ともに有権者を投票用紙の束としか見ていないのではないだろうか。

 日本郵政の社長人事をめぐって鳩山前総務相を更迭し、大臣ポストの重さを民間企業の社長以下におとしめた自民党が、今度は国会議員の議席の重さを軽視する愚挙に出たとしか言いようがない。古賀氏は劣勢の選挙情勢をなんとか挽回しようと考えたのだろうが、東国原知事は地方の代表である。首都圏の比例代表候補として出馬を要請したのは、知事の人気にあやかって首都圏の有権者を引き付け、票を稼ごうとの魂胆が見え見え。そのあまりに軽い発想には、身内の自民党内からも批判の嵐である。古賀氏は、国会議員の議席の重さについて真剣に考えたうえで出馬要請したのだろうか。どうもそうとは思えない。有権者のための政治ではなく、自民党のための政治であり、選挙なのだ。なりふり構わぬ選挙責任者の姿勢からは、落日の自民党という言葉しか浮かんでこない。

 一方、条件付きで出馬に応じる意向を示した東国原知事はどうであろう。これまでの言動からすると、知事は地方分権推進論者である。県知事になる時には「宮崎をどげんかせんといかん」といって県民の共感を得、知事就任後も国に対して毅然とものを言い続けてきた。自民党寄りの姿勢も、知事としてはやむを得ないところがあるのだろうと好意的に見てきたが、昨年からの国政転身に向けた知事の言動からは胡散臭さすら感じられる。知事の座を国政へのステップにするための腰掛け程度に見ているのなら、知事の言ってきた「地方分権」は絵空事になってしまう。ここでもまた、有権者の期待を裏切ることになりはしないか。国政転身の担保に自民党総裁候補の座を約束させるというのは、冗談では済まされない。出馬を断るつもりならはっきりと「出ません」と明言すれば済むことだろう。無理な条件を出して断念するよう仕向けたという見方は、外れているとしか思えない。知事には明らかに、有利な条件を引き出そうとする心底があると見る。ここでもまた有権者は置き去りにされている。

 宮崎県民からの反発だけにとどまらず、全国の有権者から冷たい視線を浴びせられている今回の知事擁立劇。自民党の断末魔とも見られるが、これまで安易にタレントや著名人を擁立して票を稼いできた「政界全体に向けられた視線」であることも忘れてはなるまい。同時に、有権者にも候補者選定の目を養うことが求められている。私たち有権者は単なる投票用紙の束ではない。

【頭山 隆】


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