麻生首相が明日にも人事を断行するという。人事の刷新が報じられた直後、党内から猛烈な反発を受けて「考えてない」と発言した麻生首相だったが、29日になって「人事は私がやる」としたうえで「前から考えていた」と明言。またしても「ぶれた」ということになるが、今度の決断は首相にとって本当の土壇場になる。
ある自民党議員は次のように語る。「人事をやったら党内は分裂する。辞めさせられた人間は『なんで俺なんだ』ということになる。中川(秀直)さんたちは、勝負どこと見て麻生さんの手による解散阻止に動くだろう。とても一致団結しての総選挙とはならない。人事ができなきゃできないで、(首相の)求心力は地に堕ちる。総裁選挙前倒し、総選挙先送りが現実味を帯びてくる」
引くも地獄、進むも地獄、麻生首相に事態打開への力が残っているとは思えないが、有権者そっちのけの権力闘争は熾烈を極める。結局は「議席を守るため」という議員心理が永田町を動かしているに過ぎない。
自民党が大揺れ状態になったと思ったら、肝心の野党第1党である民主党の代表に政治資金疑惑が持ち上がった。鳩山代表の資金管理団体「友愛政経懇話会」の収支報告書に記載された個人献金について、亡くなった人などの名前が使われ、2,177万円の虚偽記載があったとするものである。29日、鳩山代表自身が事実関係を認めている。報告書作成を担当した秘書の責任だとしているが、政治資金規正法上、会計責任者が「知りませんでした」では済まされない。確認しただけでも同団体の平成17~19年の会計責任者は鳩山代表の政策秘書が務めており、事務担当は公設第1秘書の名前が記されている。小沢代表の秘書が逮捕・起訴された事例とは異なり、事実関係が明らかなだけに立件しやすいケースとしか言いようがない。
小泉元首相のお膝元、神奈川県横須賀市では、自民・公明に民主までが支援した現職市長が、若い無党派候補に敗れたばかり。有権者のなかに「既成政党ではダメだ」とする心理が働いたとしか思えない。
ぶれる首相、ゆれる政権政党、政治資金でつまずく野党・・・。日本の政治は誰に託せばいいのだろう。
【秋月】
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