麻生首相は1日、経済財政相に林芳正参院議員(元防衛相)、国家公安委員長に林幹雄衆院議員(幹事長代理)を充てる人事を決めた。これにより、与謝野財務・金融相による経済財政相、佐藤総務相の国家公安委員長兼務が解消されるが、重要法案の処理が終わった後の閣僚補充に何の意味があるのだろう。
首相は先月29日まで、役員人事の刷新、特に幹事長を交代させることにこだわっていたはず。テレビカメラの前で「前から考えていた」として人事断行に前のめりになる姿を見せておきながら、結局は意味のない閣僚補充に終わってしまった。求心力低下は必至で、麻生首相の下での解散・総選挙にはますます強い抵抗が出ると見られる。
麻生首相の人事をめぐる言動は、まさに日替わり。「人事をやる」→「考えていない」→「前から考えていた」→「(役員人事を)やるという話を(首相から)聞いた人はいない」発言がぶれたというより、支離滅裂である。これほど軽い総理大臣はめったにお目にかかれまい。
注目された東国原宮崎県知事の総務相などへの起用は見送られたが、その点だけはまともな判断力が残っていたようだ。しかし、党内からは「麻生さんは自縄自縛の状態。事実上終っている。サミットに行っても(諸外国から)相手にされないんじゃないか」と突き放した声が聞こえてくる。
秋月
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