阪中銘柄=NOVA
阪中銘柄――丸石やプライム社のほかに、今回の逮捕容疑の舞台となった住宅リフォーム会社「ペイントハウス」(現ティエムシー)、ジャスダック上場のサハダイヤモンドなど、阪中社長が資金調達に関わった企業は、証券市場でこう呼ばれた。阪中銘柄は問題企業の代名詞となった。
阪中銘柄の代表格が、07年10月に経営破綻した英会話教室のNOVA。07年4月、最高裁は、中途解約の精算に関するNOVAの料金規定は特定商取引法に反しており、違法であるとの判決を下した。これを受け経済産業省は業務停止処分を発動、銀行は融資をストップ。経営が悪化したNOVAにはアングラ人脈が群がった。
NOVAは07年10月、2つの投資ファンドを引受先として64億円の第三者割当増資を計画。投資ファンドを組成したのが阪中社長だ。NOVAの猿橋望社長が米国政界人脈を介して阪中社長に泣きついたとされる。
だが、阪中社長から資金調達すると知った役員たちは、「ハイエナたちの食い物にされてたまるか」と決起。猿橋社長を解任、NOVAの会社更生法を申請した。NOVAの倒産は阪中社長の介入を防ぐためだった。
証券取引等監視委へ 全面対決の反撃姿勢
NOVAが破綻した2週間後の07年11月、証券取引等監視委員会はペイントハウスの株価操縦容疑で、ソブリン社などの家宅捜索に乗り出した。それから1年7カ月。捜査当局は、執念を燃やしていた阪中社長の逮捕に漕ぎつけたのである。
修羅場をくぐり抜けてきた男だけに、すんなり白旗を掲げるわけがない。逮捕翌日の25日、情報誌『東京アウトローズWEB版』に、「証券取引等監視委員会の横暴」と題する独占手記が出た。都合の良い証言を恫喝によってでっち上げ、何とかしてして本件を立件・告発しようと躍起になったと書く。
<監視委員会の幹部の人事異動が本年7月であり、つまらない幹部の出世のための点数稼ぎのために本件が使われようとしている。その幹部が、前任者に比べて告発した件数が少ないとか、本件の捜査になんと数億円も使ってしまったので格好がつかないとか、役人組織独特の立身出世の具に使われているようなものである>
インテリヤクザを髣髴させる共生者は逮捕容疑を完全否認し、「デッチ上げによる冤罪である」と全面対決の姿勢だ。公判のなかで、監視委に対するどんな爆弾発言が飛び出すか。けだし見ものだ。
~了~
【日下 淳】
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