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特別取材

【特別寄稿】オバマ大統領の環境エネルギー政策と日本の技術力(6)
特別取材
2009年7月 9日 08:00
国際未来科学研究所代表 浜田 和幸

 具体的には、産業技術総合研究所がアメリカの6つの国立研究機関と低酸素化社会の実現に欠かせない技術の研究開発協力の覚書を交わした。燃料電池についてはロスアラモス国立研究所と、太陽光発電についてはサンディア国立研究所と、バイオ燃料についてはローレンス・リバモア国立研究所と、そして「スマート・グリッド」に関しては商務省国立標準技術研究所との間で共同研究が進められることになった。ニューメキシコ州に建設される予定の太陽光発電所には日本政府が手始めに30億円ほどの資金を提供する。そこではスマート・グリッドの大規模な実証実験が計画されている。

 当然、民間企業も負けてはいない。こうした日米の共同研究開発には東京電力やパナソニック、三菱電機などが参加の意向を示しているようだ。しかし、よほど現実を踏まえたうえでアメリカへの市場参入を検討しなければ、いくらオバマブームとはいえ、新たなエネルギー環境事業が簡単に成功するような甘い状況ではない。

 ところで、アメリカの新エネルギー戦略にとって日本の持つ先端技術ほど魅力的なものはない。「スマート・グリッド」に欠かせない技術である超電導送電も、そのひとつである。送電ロスを減らすことになる上、最先端の電力メーターの活用で電力需要を24時間、地域を超えてマッチングできるため、貴重な電力の最大効率化を図ることができるためだ。

 超電導とは一定の条件の下で物質の電気抵抗がゼロになる現象のことで、日本が開発の最前線を走っていた技術であった。東京郊外に設置された国際超電導研究センターには世界中から研究者が押し寄せたものである。

 送電ロスは電気抵抗によって引き起こされる。となれば、超電導送電ケーブルを導入すれば、送電ロスを防ぐことができるようになる。アメリカが日本の技術に期待を寄せるのもうなずけよう。実は、超電導送電を手掛けているのは住友電工や古河電工という日本企業である。高温超電導直流ケーブルは住友電工の誇る最先端技術に他ならない。

(つづく)


【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
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1953年鳥取県生まれ。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学大学院にて政治学博士号を修得。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現在、国際未来科学研究所の代表。

専門は「技術と社会の未来予測」「国家と個人の安全保障」「長寿企業の戦略経営」。米ワシントン・ロータリー・クラブ米日友好委員長、発明王エジソン生誕150周年祝賀事業実行委員長、日本バイオベンチャー推進協会理事、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、特許庁工業所有権副読本選定普及委員、鳥取県公園都市推進事業委員などを歴任。

主な著書:ベストセラーとなった「ヘッジファンド」(文春新書)をはじめ、「知的未来学入門」(新潮選書)、「快人エジソン」(日本経済新聞社)、「たかられる大国・日本」(祥伝社)、「サイバーテロ」(PHP)、「ブッシュの終わりなき世界戦争」(講談社)、「通貨バトルロワイアル」(集英社)、「チャイナ・コントロール」(祥伝社)、「ウォーター・マネー」(光文社)、「エジソンの言葉」(大和書房)、「イラク戦争:日本の分け前」(光文社)、「悪魔の情報戦争」(ビジネス社)、「黒いホワイトハウス」(祥伝社)、「ハゲタカが嗤った日:リップルウッド=新生銀行の隠された真実」(集英社インターナショナル)など多数。最新刊は、「たかられる大国・日本」(祥伝社・黄金文庫)、「胡錦濤の反日行動計画」(祥伝社)。また、毎週月曜日の午前9時10分から「山陰放送(BSS)」にて「浜田和幸の世界情報探検隊」、午後2時40分から「ニッポン放送・テリー伊藤のってけラジオ」にて「浜田和幸の世界びっくりニュース」をOA。毎週火曜日午前7時からは、「文化放送・蟹瀬誠一ネクスト」のレギュラー・コメンテーターとして最新ニュースの裏側を解説している。

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