<設計・開発部門までが新興国に。国内部門の生き残り策は?>
6月4日に施工された長期耐久性能(200年住宅)への減税措置(最大600万円まで)による需要喚起策が功を奏して、契約は必ず上向くと強気の予測を立てている大和ハウス工業の樋口会長や、積水ハウスの和田会長の思惑通りにいくのかどうか。7月末の国土交通省の発表が見ものである。
これら大手の工業化認定住宅メーカーは、すでに全商品が適応できると話しているが、今回の法律改正については全着工戸数の85%近くを占める一般工務店や地域住宅会社を度外視して、大手メーカーとだけ適用対象を絞った打合せを続けてきたきらいがある。いわば中小零細住宅会社潰し、とも言えるのである。
しかし、現実は国土交通省も認めているように、所得の低下と雇用環境の厳しさに起因して、住宅着工戸数は増えるどころか減少の一途をたどっているのである。
昨年末からの突然の契約社員切りにも驚いたが、最近は正社員まで整理せざるを得ないところまで追い詰められつつある。東芝の夏季賞与が40%ダウン、他の大手電機メーカーでも平均して20%ダウンは当たり前の世の中になってきた。大手企業は日本国内の需要に見切りをつけ、中国を始めアジア諸国への進出で生き延びようと躍起である。
これまでは設計・開発部門と高付加価値製品の製造部門は日本国内に残し、汎用品などの製造を新興国に移してきたが、新興国の製造技術のキャッチアップの速度が速まりそれどころではなくなってきた。設計・開発部門まで新興国で行なうようになってきている。国内部門が生き残るためには、賃金を新興国並みに切り下げていかねばならない時代が訪れたのだ。
【徳島 盛】
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