南福岡管工事協同組合
理事長:上村 博文
所在地:福岡県春日市平田台2-7
新理事長就任で厳しい市場を乗り切る
対して南福岡管工事協同組合(以下南福岡管工事)は、福岡県管工業協同組合連合会のなかでは福岡市から南方に位置する3市1町(春日市、太宰府市、大野城市、那珂川町)の地区の管工事業に携わる業者で形成され、71年8月に設立された協同組合である。100万人都市・福岡をターゲットエリアとする福岡市管工事のように大きな市場が対象ではないことから、中堅業者を筆頭として組合数は27社(6/25現在)。資本金に相当する出資金は2,494万円である。目的は福岡市管工事と同様に、組合員への資材供給や組合員の情報提供や勉強会などを主としている。組合そのものが公共工事を受注することはないが、その点における組合員へのフォローや、開発が進む同地区に進出する大手建築工事業者に対する交渉などを行なっており、組合としての色合いは濃い。
福岡市管工事と同じく、厳しい市況を反映して組合員の減少は続いており、資材の取引高は減少傾向にある。しかしながら、福岡市管工事と比較して急激に落ち込むことはなく、09年3月期での業績は5,732万円。今のところ安定はしている。だが、利益面での後退傾向は顕著に出ており、利益追求の事業体でないにせよ、当期利益段階で8万円の赤字を計上。現金預金の月商換算では4.8カ月分を持ち、固い事業基盤は残されているものの、今回人件費を圧縮するなど改善を行ないながらも、今後の事業展開には課題を残した。
しかし、注目すべき点は今年6月から上村博文氏が新理事長に就任し、今後の南福岡管工事の運営を任されたことである。組合の現状を踏まえ、約1,200品目を取り扱う福岡市管工事のように多種多様の資材を抱えることはないが、できるだけ最新で使い勝手の良い資材供給を心掛け、事業規模に合わせた資材需要に対応するとしている。今後は「実利のある勉強会の開催や、小さいながらも結束力を深める組合を目指す」としている。たしかに、創業時はそういった志の下、組合員を募ったのではないだろうか。
明暗はっきり分かれる
規模は異なるが、同じような課題点を持つこの二つの組合。規模の大きさがゆえに、何事にも反動が大きい福岡市管工事は、成熟した市場と厳しさを増す管材業者間の競争などもあって、組合に依存する業者が減少していることはたしかである。藤理事長も、事業継続のために無報酬で理事長職を続けるとしている。しかし、このような状況を打破するには、さらなる求心力が求められるのではないだろうか。
一方、南福岡管工事でも資材卸の取引高の減少分に代わる事業を構想中とされるが、こちらは意思表示がはっきりしており、あくまで組合は表に立たず、組合員のバックアップに徹する意向である。規模的にもコンパクトである南福岡管工事では、新理事長の上村氏を中心に経営間の意思疎通の媒体として組合を位置づける。いつでも経営の相談ができる「よりどころ」であり、また、時代に取り残されないような経営の勉強会などを開催し、し、組合機能を強化と組合員のレベルアップを行なう方向である。この新理事長の舵取りが期待されている。
続投を表明し、組合の立て直しを図る福岡市管工事と、新理事長の就任で新たな節目を持った南福岡管工事。両理事長の采配が注目されている。
【道山 憲一】
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