<地方の住民は将来に強い危機感を抱く>
前回、麻生首相を代表する自民党の組織としての歴史的終焉について述べた。徳川最後の将軍・慶喜と同様に、麻生氏が最後の自民党首相の役割を担うことになる。恐らくは本日7月16日に、麻生首相はボンボンの性格を顕著にするだろう。周囲の助言に耳を貸さず、意地で解散の道を貫く。結構なことだ。『自民党最後の首相・麻生太郎』と歴史的な名前が記憶される。名誉なことだ(仮に、自民党国会議員総会で総裁のポストから引きずり降ろされる事態になるとしても。新しい総裁を選んでも、自民党は四分五裂の最悪の事態になる)。
筆者が自民党では駄目と判断したのは、昨年の秋に佐賀県江北町の町長を取材に行ったときのことだ。この町長は自民党員である。保守王国であった佐賀県では当然なことだ。党員町長が「わが町の自民党党員の大半が『一度、野に下り自民党の根本的な再建・再武装をしなければならない』と本心から願っている」と証言したことには驚いた。その1年前(2007年夏)に自民党が参議院選挙で惨敗した記憶が新しいときである。「自民党は地方の切実な問題を解決できない党になってしまった」と地方住民がそんな認識に至ったのである(自民党関係者は「参議院選挙の敗北は風が吹いたから」としか総括できなかった)。
<保守王国から決起が始まる>
徳川政権を打破したのは、世俗的には「薩長土肥連合」といわれる。実質は薩長のパワーで徳川を粉砕した。権力を奪取した後には、さらなるドラマが待っていた。まず、薩摩側は西郷隆盛と大久保利通が西南戦争で内ゲバを行なった。これで薩摩陣営は傷ついた。西南戦争の終結後間もなく、大久保が暗殺された。ここで一挙に力関係が長州側に傾いた。1877年の西南戦争を境にして、長州閥が近代国家建設のリーダーシップを握るようになった(その遺産のお陰で、馬鹿な安倍首相を誕生させたのだ)。
肥前はカミソリのようにきれる頭の持ち主であった江藤新平が、佐賀の乱を起こしたことで主流から外された。大隈重信は、教育経営に専念したことは周知のことである。「坂本竜馬・中岡慎太郎が存命していれば」という歴史仮説では話にならない。土佐陣営は内部での結束が弱いのが特徴であった。土佐を代表する板垣退助は、自由民権運動に走った。結果として『薩長土肥』連合政権は、西南戦争の10年後には長州単独政権になったのである。
歴史の皮肉というか、明治維新を担った革新部隊の『薩長土肥』は、国家の利権を漁るようになってからは保守に転落してしまった(土佐だけは自由民権という道を走ったが)。100年の時の流れとともに、保守王国として君臨してきた三県(山口・鹿児島・佐賀)の気風も変化を始めている。その傾向が薩摩・鹿児島で顕著になってきたのだ。次回で触れるが、鹿児島・阿久根市民が市長に竹原信一氏を2回も選んだ事実。この本質を分析していくと、新しい、かつ大きなうねりがみられる。そして、明治維新達成から150年あまりが経過した。ここに、平成維新の機運が高まってきた(次の総選挙で明確になる)。この動きのスタートが、薩摩=鹿児島から生じるのではないかと思われる。
~つづく~
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