避けられない業績悪化
今回取り上げたのは福岡都市圏の電気工事企業50社。うち27社が増収(※)となった。公共工事が減少を続ける中で比較的好調だった民間の設備投資が牽引したと見られる。ただし、米国サブプライムローン問題に端を発した世界的な経済停滞が日本国経済に本格的に影響を与え始めたのは昨年9月以降。今年3月期以降の決算でその実情が現れてくることになる。業態にもよるが、多くの企業が減収を余儀なくされることが予想される。
※2007年12月期から2008年12月期の決算を対象。
受注単価の下落
事業環境が厳しくなる背景として、ゼネコンなど主力受注先の経営環境の悪化が挙げられる。官庁工事が減少、民間工事においても厳しい予算制限がある中で、ゼネコンの単価面での要求は厳しさを増している。こうした事態は電気工事企業の受注単価の下落を引き起こしており収益面を圧迫している。もうひとつ収益が取れなくなってきた要因に、原料の高騰が挙げられる。中国需要の増加など世界的な需要の増加、資源の減少による銅をはじめとした素材価格の高騰により電材の仕入れ価格は上昇を続けてきたが、中小の電気工事企業はそれを受注単価に転嫁できない力関係にある。ここへ来て電材価格は一巡したものの、今回掲載したうちの29社、ほぼ60%の企業の売上総利益率が10%台に止まっており、収益性を巡る環境の厳しさが浮き彫りとなった。
(つづく)
【楢崎 賢治】
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