200年住宅・HABITAで新しい日本の住文化創出に挑む
「HOUSEからHOMEへ、HOMEからHABITAへ」―東証一部上場の住宅企業であるミサワホーム(株)の創業者・三澤千代治氏は、「200年住宅」の実現を提唱し、「ゆりかごからゆりかごへ」受け継がれていく新しい住宅のあり方を打ち出している。そこに至るまでの想いと、低迷する住宅産業の今後の行方について話を聞いた。
所在地:東京都新宿区西新宿2-7-1
設 立:2004年3月
資本金:8億5,858万円
居住性を長期に保つ
―まず、御社が手掛ける「HABITA」のコンセプトをお教えください。
三澤 「HABITA」は200年住宅で、当社は構造体の供給をし、設計や施工は200社の提携企業さんにそれぞれお任せします。
日本住宅の耐用年数はすごく短く、実際には26年です。アメリカが2倍の50年、イギリスが3倍の75年くらいです。日本住宅も耐用年数を長くしなければ地球環境に悪いということで、3年ほど前に、自民党のなかで福田康夫元総理を座長として「200年住宅研究会」ができました。
ここでいう地球環境問題というのは、温暖化、少資源化、公害の3つがありますが、とくに日本では温暖化によるシロアリ被害が一番大きな問題だと思います。
阪神淡路大震災のときでも、被害が拡大したのはシロアリによる住宅の老朽化が大きかったようです。シロアリは日に当たる場所では生きられず、家の土台に入り込んでしまうので外からでは分からないわけです。そうして土台が傷んでいるところに地震が来ました。
もともと、沖縄にしかいなかったシロアリですが、温暖化で北上し、大阪万博のときに大阪で見つかって大騒ぎになりました。ただ、そのときにとくに対策が講じられておらず、現在は北海道の一部を除いて日本全国に生息しています。
―そうした地球環境問題を背景にして、200年住宅を考えているわけですね。
三澤 今は住宅のストックがたくさんあるから新しいものは建てる必要がないという考え方もありますが、実際には壊れた家がいっぱいあるわけです。
また、耐用年数26年の家では一生に2度買わなければなりませんから、住居費が増えてしまいます。何代か暮らせるようにすれば、住居費も抑えられます。そうしたことから、200年住宅という構想は生まれました。
―ただ、昨今の住宅業界は大変厳しいです。
三澤 「HABITA」では不況対策も考えております。まず、耐用年数を長くすることで、個人の毎月の返済負担を軽くします。まだ実現しておりませんが、「100年住宅ローン」というものを開発中です。これが実現すれば、ローンの月々の返済が実質半分になります。3代で分担して返していくという「継承ローン」という新しい仕組みで、すでに国交省には了解をもらっており、少なくとも年内には実現できると思います。
【大根田康介】
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