よく飲食店などでもらえるクーポン券付きチラシだが、景気が低迷し個人消費も冷え込むなか、各社それぞれに知恵を絞った顧客獲得作戦を実施している。たとえば、勘定の際に次回利用できるクーポンを渡したり、駅前などの街頭で配布するなど、最近ではよく見かける光景である。しかし、その成果が出ている店、出ていない店と千差万別で、クーポンにかかる経費を無駄にしているのでは?と思える企業もあるほどだ。
そんななか、九州の某ラーメンチェーンではクーポン券のバック率を高めるため、人気サイドメニューである餃子の無料券を、新メニューを注文した客限定で渡した。すると、それまで3~5%だったクーポンのバック率が、なんと15%まで一気に上昇したという。
「新商品のラーメンにサービス品をつけたことが、お得感として消費者に伝わった結果」と同チェーンの社長は語る。ラーメン自体の価格を下げずに付加価値をつける。いわば、魅力ある“オマケ”をつけたのだ。「一度、基本料金を落としてしまうと、値下げに歯止めが利かなくなる。結果として経営がおかしくなる」と前出の社長は続ける。
これまで、サラリーマンなどはクーポン券をもらっても「使うのが恥ずかしい」、「わざわざ出すのが面倒臭い」などの理由で、あまり利用されていなかった現実があった。しかし、この不況下で賃金もダウンする企業が多いなかで、「少しでも安く…」という“節約の意識”も芽生えたのか、サラリーマンのクーポン利用率も上がっているようである。
いずれにせよ、不振に悩む飲食店にとってクーポン券の内容や効果的な配布・利用方法が、売上アップへのキッカケになるのかもしれない。
【矢野 寛之】
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