医療機関からの新型インフルエンザ遺伝子検査要請を拒否した博多保健所について、次々と不作為の証明が見つかっている。6月6日に春日市内の医療機関からの検査要請を拒否した理由は、「管轄が違う」というものだった。いわゆる「たらい回し」である。次に明らかになったのは、博多区内の小学校から発熱による欠席の集団発生報告(5人以上)を受けながら、判断を誤ったというものだ(昨日既報)。この過程を調べていくと、極めて悪質なお役所体質が浮かび上がってきた。
板付小学校によれば、6月5日に4年生のあるクラスで欠席児童の数が10人にのぼり、内5人が発熱によるものだったため、市教委の通知に従い、博多保健所に事実関係を電話とFAXで報告したとする。改めて博多保健所に確認したところ、電話とFAXを受けたことを認めている。
取材班は、6月6日の「新型インフルエンザ相談票」に記された『板付小に健康調査等を行い』という記述内容に注目していたのだが、『健康調査』とは、博多保健所が同小からの報告を受けた後に作成依頼した次の文書のことだった。(参照)
つまり、博多保健所は、発熱以外で欠席した児童の欠席理由と、海外又は関西(大阪)地方への移動の有無を確認したに過ぎない。しかも、自発的な調査ではなく、「5人以上の発熱による欠席」の発生報告を受けてから、その内容をFAXで送らせたものだった。これが「健康調査」と呼べるものとは思えない。
さらに、ここで問題になるのは、6月6日の相談票に記された内容である。(参照)
医療機関から「板付小の生徒が多数来ている」「新型インフルエンザを自分は強く疑っている」「板付小で多発している」等々の指摘を受けているにもかかわらず、博多保健所側は前日の板付小からの「報告」については何も話さず、「健康調査等を行い新型―ではない」と都合の良いことだけを述べている。故意に、板付小の「報告」を隠蔽したという見方もできる。
前日の板付小からの「報告」、医師からの指摘、これだけ材料が揃った時点で「確かにおかしい」と感じなかったとしたら、「ただの藪医者」でしかない。判断能力が欠如していたのか、作為的に新型インフルエンザから逃げたのか、さらに検証する必要が出てきた。
(つづく)
【市政取材班】
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