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<IBスペシャルインタビュー> 一般社団法人 太陽経済の会 代表理事 山﨑養世氏 「アジア都市福岡の復権」(3)
特別取材
2009年7月25日 08:00

一般社団法人 太陽経済の会 代表理事 山﨑養世氏
 山﨑  しかも行政の仕事の3分の2を地方にやらせ、一方で財政を3分の1しか渡さなかったことが今の地方自治体や地方経済の破綻につながっています。「小さな政府」などとかっこいいこと言って、地方に分配する金は切ってしまい、血液が末端まで行かなくなっているのです。
 だったら、昔のように金を配ることをしない代わりに、地方を縛るのをやめたらよかったんですよ。その一番いい例が高速道路です。東京は鉄道網だって十分だし、自動車依存度が3割しかない。だけど北海道をはじめとした35の道県の自動車依存度は9割以上ですよ。福岡県でも、地下鉄やバスで済むのは福岡市内ぐらいでしょう。

 ―私も基本は車ですね。

 山﨑 そうでしょう。であれば、移動するのに一番早いのは高速道路です。高速道路が全部タダであれば、さっき言ったように、北九州空港と福岡空港と佐賀空港がそれぞれ1時間以内で結ばれるんです。そうなると新しい空港なんていらないじゃないかという話になるのに、結局はどうなったか。民営化という名のもと、建設時には借金を返せば無料にすると約束したはずの高速道路が、永久に有料になってしまいました。そうやって「無料になんかできない、値下げできるわけがない」と言いながら、最近、土日祝日だけですが、1,000円になりましたよね。やればできるんですよ。

<ライフスタイル系産業をヨーロッパに学べ>

 山﨑 「小さな政府」という考え方はいまや大間違いと言わざるを得ません。これからは、強い官民一体型の国が伸びるでしょう。先進国では、民間経済はこれから縮小を続けます。金融危機でも不良債権問題でも、政府が資金を投入したから終わったのです。それでいて片方では「小さな政府」などと言っているのはおかしな話です。
 世界の趨勢は、例えばヨーロッパであれば90年代の頭から、強い政府が国民生活のセーフティネットを強化した上で競争をするという、新しい資本主義に突入しました。80年代までは「小さな政府」でよかったはずなのに、なぜ新しい資本主義が必然になったのか。それは、世界の工場が先進国から中国やインドに移って、先進国の多くの人に働く場がなくなっていったからです。それが所得格差が世界的に大きく広がる原因にもなりました。インドや中国のなかでも資本家階級は急激に豊かになり所得全体も上がるから、高度成長を示しています。
 一方、先進国では、中国やインドでの労働賃金に向かって、先進国の人間の労働コストを下げなきゃいけなくなる。それを真正面からはできないから、フリーターなどの非正規労働というかたちにして賃金を大幅に切り下げた。今、日本の勤労者の3人に1人が非正規労働者ですが、これは実質的な賃金切り下げです。

~つづく~

【文・構成:烏丸 哲人】

山﨑養世(やまざき・やすよ)氏
1958年生まれ。福岡市出身。東京大学経済学部卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経営学修士(MBA)取得。大和証券を経て、ゴールドマン・サックス投信社長として同社を外資系トップの投信会社に育てる。ゴールドマン・サックス本社パートナー(共同経営者)等を歴任。02年、同社を辞し、シンクタンク  養世事務所を設立。金融・財政・国際経済問題等の調査・研究、政策提言を行なう。「高速道路無料化」を02年から提唱している。著書に『次のグローバル・バブルが始まった!』『日本「復活」のシナリオ~「太陽経済」を主導せよ!』(ともに朝日新聞出版)ほか。


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