株価が10万円を割り込んだ状態で2008年を迎えた同社に、さらに追い討ちをかけたのが「リーマンショック」である。世界的な金融不安を背景に、不動産業者の株価は軒並み大幅下落した。同社も例外ではなく、08年末には1万6,000円台の水準にまで株価が下落。収益物件を開発し販売する不動産業者は、販売先であったはずの投資ファンドが不振を極めたことで売却先を失い、開発予定地を抱え込んだ業者が続出した。業績は大幅な修正を余儀なくされ、それが株価下落に追い討ちをかけるという悪循環に陥った。同社の株価も低空飛行が続き、09年7月には1万2,000円台にまで落ち込んでしまっている。時価総額にして5億円余りである。05年には株価が50万円を超え、時価総額で150億円余りだったことを考えれば、失ってきた企業価値の大きさがよくわかる。
ここまで株価の推移を振り返りながら、同社が辿ってきた過程を見てきた。「構造計算書偽装事件」を発端として、「サブプライムローン問題」「リーマンショック」により大きなダメージを受けた結果が現在の株価と時価総額である。ただしこれらは、いわば外的要因。同社の業績だけ見れば、事件以降も08年3月期までは右肩上がりと言える状態であり、同期には過去最高の売上高を記録している。次回からは内的要因にまで踏み込んだ検証を進めてみよう。
【緒方 克美】
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