日本共産党は28日、衆院選に向けたマニフェストを発表した。
志位委員長は記者会見で、来る衆院選を「自公政権を退場に追い込む決定的な審判を下す選挙」と位置づけ、民主党政権が誕生することを想定し、共産党として「建設的野党」の立場を堅持し、是々非々で臨むことを明らかにした。
政策では、後期高齢者医療制度の廃止、75歳以上の高齢者と就学前の子どもの医療費全額免除などを打ち出した。また子育て支援では、児童手当を1万円に引上げることや、公立高校の授業料の無償化、私立高校の授業料も年収500万円以下では全額、800万円未満では半額助成することを打ち出している。また生活保護の母子加算の復活も訴え、生活建て直しと福祉の分野に力を注いでいる。これらの財源としては、防衛費の削減、大企業や高額所得者への増額などで12兆円を捻出できるとしている。
共産党の総選挙に臨む態度の特徴は、民主党政権が誕生する可能性が大きいことを想定していることだ。民主党との個別政策での協議を行なうなど、「建設的野党」としての立場を明確にすることで、自民・民主の二大政党制の中での埋没を防ごうと躍起になっているといえよう。7月の東京都議選で共産党は13議席から8議席へと大幅に後退した。昨年来の「派遣切り」や貧困・格差問題などで共産党が脚光を浴びてきたが、現実の選挙での前進や党勢の拡大には結びついてはいない。一方、民主党への政権交代の流れの中で、「自民も民主も同じだ」という国民も存在する。「小選挙区では民主党(共産党の候補者がいない区)へ、比例は共産党へ」という選挙戦術になるだろうが、党の方針が共産党員、支持者に浸透しているのかどうかなど懸念材料もある。
こうしたことを背景にした今度の総選挙で、共産党の存在感を示すことができるかどうかが注目される。
【武田】
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