<衝撃与えた会社更生法>
しかし、バブル崩壊後の不況の影響から入場者数は減少。99年度以降の入場者数は、ついに400万人台を割り込み、02年度には352万人まで落ち込んだ。加えて、ワッセナー(高級分譲別荘地)の売却も進まず、経営を圧迫していた。また、2,250億円もの設備投資が重荷となり、毎期の赤字を余儀なくされ、多額の累損を抱えていた。
再建に向けて2000年からの2年間に総額530億円を上限として、みずほコーポレート銀行(旧日本興業銀行)が債権をカット。その責任を取るかたちで神近氏は引責辞任し、01年6月には森山道壮氏が代表に就任した。長崎オランダ村の閉園や関連施設および遊休地施設の売却に着手して経営再建を図っていたが、見通しが厳しいなかで金融機関に再度の債権カットを要請していた。
そうしたなか、03年2月26日、同社は会社更生法の適用を申請した。負債総額は申請時点で約2,289億円。九州・沖縄地区では大型リゾート施設「シーガイア」を運営する宮崎市のフェニックスリゾート(01年会社更生法)の約2,762億円に次ぐ過去2番目の大型倒産だった。
同時期に、みずほフィナンシャルグループや長崎県内の地銀などは、ハウステンボスの債権について取立不能または取立遅延の恐れがあると発表した。みずほコーポレート銀行1,023億2,700万円、三菱信託銀行108億円、東京三菱銀行19億円。親和銀行93億9,200万円、十八銀行93億円、九州銀行32億8,100万円、長崎銀行19億5,300万円(行名・数値はすべて当時)。これだけでも、関係者に当時与えた影響の大きさが分かる。
その後、スポンサーとして米投資会社のリップルウッド・ホールディングス、みずほ証券とオリックスなどが出資する企業再生ファンドのベーシック・キャピタル・マネジメント、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドなど約20社が名乗りを上げたと報じられた。結局は野村PFがスポンサーとなり、ハウステンボス再建に乗り出すことになった。 こうして、04年度から会社更生計画の認定決定を受けて新体制がスタートした。
【大根田康介・烏丸 哲人】
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