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上場企業を斬る

シノケングループ 研究(7)~ビジネスモデル崩壊の危機-その3
上場企業を斬る
2009年7月31日 11:10

 「土地がなくても、自己資金が少なくても、アパート経営はできる!!」をキャッチフレーズに、同社は事業展開を図ってきた。30代のサラリーマンや公務員をオーナーとして、従来の分譲マンション用地や賃貸マンション用地には満たない、小型の土地に木造低層アパートを建築するのである。オーナーの年収が700~800万円程度という、従来の投資家とは異なる層にターゲットを絞り業績を伸ばした同社は、2002年12月には店頭登録(04年12月にジャスダックへ変更)まで果たした。
 上場した企業には右肩上がりの業績が求められる。全国的にも多くの不動産関連企業が上場を果たしたが、業績を伸ばすためにエリアの拡大、物件の大型化に走る傾向が強くなるのが一般的だ。同社の場合、2000年9月にはすでに東京支店を開設していたが、04年1月には名古屋支店、05年1月には札幌支店を開設している。また、従来の低層アパート中心の事業展開から、徐々に高層賃貸マンションへの傾斜を強めていった。折しも不動産ファンドが急激に市場を拡大し始めた時期である。物件が大型化し供給戸数が増えれば、同社の管理戸数も比例して増加していく。実際は大きなリスクを内包していたのだが、「偽装事件」までは、このビジネスモデルが機能していた。だが、事件をきっかけに潜在化していたリスクが表面化していくことになる。

~つづく~

【緒方 克美】


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