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特別取材

アウトレットがもたらした功罪(3) 消費不況のなかで、その行方は
特別取材
2009年7月 1日 13:18

3. 欠品回避の専用品投入は是か非か 

 デベロッパーがアウトレットを積極展開すれば、当然、器を埋めるテナントが必要になる。ところが、これだけ施設が乱立すると、テナントはもちろんだが、その在庫品、B級品などキャリー商品を確保できているのだろうか。
 結論から言えば、多くのテナントがローコスト生産の「アウトレット専用品」を開発し、対応しているというのが現状である。これはアウトレット先進国の米国でも同じで、 正価業態が売り上げ好調なら、アウトレットに出回る売れ筋商品は少なくなる。欠品とは常に隣り合わせの状態なのだ。だから、全米に数百あるアウトレットでも、高級ブランドのみを販売するテナントが並ぶのは、ウッドベリーコモンやガーニーミルズなど数カ所。大半は高級ブランド店を一部導入し、専用品を売るテナントを多数組み合わせて運営している。
 日本でもアウトレットの上陸から間もなく、こうした課題に直面した。あるアパレルテナントは、サイズや色切れのあるアウトレット商品だけでは、お客の要望には応えられないと、いち早く専用品の投入に踏み切った。また、あるブランド靴のテナントは、残革を利用し正規の靴の木型を使って、低価格の靴を製造して投入。もはや専用品は、アウトレットの既成事実になっている。

◎テナント、デベロッパーで解釈に温度差

 テナントにとって、せっかく遠方からやってきたお客をがっかりさせず、販売ロスを出さないためにも欠品は避けたいものだ。
 一方で高級ブランドのようなテナントは、専用品はブランドイメージを傷つけると、導入を避けるところも少なくない。また、キャリー品と専用品を組み合わせて販売するところもあり、テナントによって専用品の是非に温度差が生じている。
 テナントにいろんな解釈があるなか、三井不動産は「アウトレットの基準」をテナント対して、「専用品やレギュラー定価品を扱いたくない」との意思表示をした。それでもテナントのなかには、アウトレット特化のブランドを出すところや、専用品をお客にブランドを知ってもらうきっかけとして活用するところもある。
 実際、訪れるお客は「専用品だからといって不満を漏らすことはない」ようで、デベロッパーも欠品を補い、売場をきれいに維持しているテナントには、基準遵守を厳格化していない。意思表示は完全にトーンダウンした状態になっている。
 しかし、専用品だの、残革利用だのといっても、所詮ローコスト生産の産物。商品の本質は、ユニクロやH&Mといったファストファッションと何ら変わらない。正価販売が不振な時だからこそ、在庫を処理し現金化することを優先すべきではないだろうか。

(つづく)
アウトレット開発が盛んになれば、アウトレット専用品を
販売するテナントがあるのは周知の事実

【剱 英雄】

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