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アウトレットがもたらした功罪(5) 消費不況のなかで、その行方は
特別取材
2009年7月 3日 13:07

5. 限界在庫の小売業が出店する不自然さ

 アウトレットに出店する小売業の多くは当初、「レギュラー売場でのバーゲン比率が下がった」と語っていた。そのため、レギュラー売場では鮮度が維持でき、ブランドイメージを高めることにつながったようだ。
 しかし、それがバイヤーの能力低下を招いたことに意外と気づいていない。バイヤーはつい、「正価で売れなければアウトレットがある」と考えるため、自店の客層や商品政策を無視した仕入れに走ってしまう。「思い切った仕入れ」と言えば格好はいいが、それは「売れもしない商品の買い付け」であり、品揃えのセオリーである『見せ筋』、『売れ筋』、『売り筋』のバランスを崩してしまう。
 いくら現金化できるといっても、アウトレットに出す商品が増えれば、粗利益の低下は避けられない。特に大手セレクトショップは、インポートなどの高額品がレギュラー店で消化できないと、アウトレットに回す傾向が高い。
 しかし、メーカーではないから専用品は作れないし、回す商品もごく限られる。それにも関わらず堂々と出店し、しかも多店舗化できているのは、何らかの意図的な政策が働いていると考えざるを得ない。もし、新たに「安売りの商品」を仕入れているとしたら、それはもはやアウトレットではなく、「オフプライスストア」だ。
 これがアウトレットを曖昧にしている3つめの理由である。

◎小売アウトレットはユニクロなら可能か

 誤解がないように付け加えておくが、小売業ではアウトレットが成立しないという意味ではない。アウトレットには「リテール・アウトレット」といわれるものもある。これは文字通り、小売業が運営するアウトレットのことを指す。
 たとえば、自社に生産機能を持たないユニクロやギャップは、シーズン頭に商品を大量にローコストで調達し、ある程度の時間をかけて、売り減らしていく。そのため、お客の好みや流行を読み違えば、大量の在庫を抱えてしまう。 この時の在庫を格安で販売するのが、リテール・アウトレットである。ギャップがアウトレットを展開できるのも、正価で粗利益率が35~50%確保できているからだ。
 アウトレットは、メーカーにも小売業にも合理的なシステムかもしれない。しかし、それが正価で売るという「販売力」を低下させているのは間違いない。メーカーはきちんとした生産計画を立て、小売業は実需に合った仕入れ計画にのっとり、商品を売り切って適正な利益を上げることが原理原則である。それができるところがブランドメーカーであり、有名小売業であるはずだ。
 実際には、こうしたネームバリューが販売力低下で残った商品の消化と集客のために利用されるのは、販売力はもちろん、企業力の低下を意味する。

(つづく)
小売業でアウトレット出店ができるのは、ギャップのように正価で粗利益率35~50%が確保できている企業

【剱 英雄】

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