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特別取材

【特別寄稿】オバマ大統領の環境エネルギー政策と日本の技術力(7)
特別取材
2009年7月10日 08:00
国際未来科学研究所代表 浜田 和幸

 注意すべきは、オバマ大統領はグリーン・ニューディールに関しては、「バイ・アメリカン」の原則を掲げていること。すなわち、アメリカの公的資金を投入する事業である限り、アメリカ企業の提供するサービスや部品を使うということである。とすれば、日本政府の資金や日本企業の技術を巧みに吸収したあと、具体的なビジネスはGEなどアメリカ企業が独占することにもなりかねない。これでは日本は浮かばれない。

 思い起こせば、太陽光発電に関して言えば、日本は2003年には世界シェアーの約50%を握っていた。圧倒的な技術的優位性のもとで、世界シェアーを伸ばしていたものである。ところが、現在ではその半分に減っている。ひとえに、日本政府による支援体制のなさが原因である。後発のドイツやフランス、そして中国などの企業が各国政府の手厚い支援を受け、シェアーを急速に拡大したのと対照的といえよう。

 ドイツの太陽電池メーカーのQセルズは2007年にシャープを抜き、生産量で世界第1位の座を獲得した。しかも、ドイツでは太陽電池を含む自然エネルギー産業の育成が進み、すでに25万人以上の雇用を生み出している。自動車産業に次ぐ「未来の基幹産業」となりつつある。それだけドイツ政府が力を入れてきた結果だ。日本では最先端の技術がありながら、政府の支援体制が不十分なため、せっかくの宝の山を外国勢に横取りされているに等しい。

 風力発電にしても三菱重工や日本風力開発の技術はアメリカで高く評価されており、日本で普及が遅れているのは惜しい限りである。日本の場合は風次第といわれる風力発電の電力を、蓄電池を使ってストックして安定供給できるのが強みとなっているアメリカ中西部の大手電力会社が、この日本のシステムを導入しはじめた。

 今また、最大の市場を持つアメリカから「日米協力案件」として代替エネルギーに関する技術移転を求められている。これまでの教訓を活かし、虎の子の技術を高く売るべく官民の協力体制の構築が要求されるのは言うまでもない。アメリカの新駐日大使に指名されたジョン・ルース氏は、まさにアメリカのエネルギー産業が必要とする技術を日本から引っ張り出すことを最大の任務としている。

(つづく)


【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
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1953年鳥取県生まれ。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学大学院にて政治学博士号を修得。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現在、国際未来科学研究所の代表。

専門は「技術と社会の未来予測」「国家と個人の安全保障」「長寿企業の戦略経営」。米ワシントン・ロータリー・クラブ米日友好委員長、発明王エジソン生誕150周年祝賀事業実行委員長、日本バイオベンチャー推進協会理事、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、特許庁工業所有権副読本選定普及委員、鳥取県公園都市推進事業委員などを歴任。

主な著書:ベストセラーとなった「ヘッジファンド」(文春新書)をはじめ、「知的未来学入門」(新潮選書)、「快人エジソン」(日本経済新聞社)、「たかられる大国・日本」(祥伝社)、「サイバーテロ」(PHP)、「ブッシュの終わりなき世界戦争」(講談社)、「通貨バトルロワイアル」(集英社)、「チャイナ・コントロール」(祥伝社)、「ウォーター・マネー」(光文社)、「エジソンの言葉」(大和書房)、「イラク戦争:日本の分け前」(光文社)、「悪魔の情報戦争」(ビジネス社)、「黒いホワイトハウス」(祥伝社)、「ハゲタカが嗤った日:リップルウッド=新生銀行の隠された真実」(集英社インターナショナル)など多数。最新刊は、「たかられる大国・日本」(祥伝社・黄金文庫)、「胡錦濤の反日行動計画」(祥伝社)。また、毎週月曜日の午前9時10分から「山陰放送(BSS)」にて「浜田和幸の世界情報探検隊」、午後2時40分から「ニッポン放送・テリー伊藤のってけラジオ」にて「浜田和幸の世界びっくりニュース」をOA。毎週火曜日午前7時からは、「文化放送・蟹瀬誠一ネクスト」のレギュラー・コメンテーターとして最新ニュースの裏側を解説している。

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