自民党の両院議員総会をめぐる動きは、まさに断末魔といえる。有権者そっちのけで権力闘争を繰り広げる様には、政権政党として戦後の日本を動かしてきた昔日の面影はない。
党大会に次ぐ決定機関である両院議員総会を開くために必要とされる所属国会議員の3分の1を越える133人の署名は、16日、中川秀直氏らによって幹事長と両院議員総会長に提出された。党則に従えば、7日以内に両院議員総会を開かなければならない。同日夕、署名取り下げなどの動きが出始め、開催が危ぶまれるが、あるとすればそのシナリオはどのようなものだろう。
その両院議員総会が開かれた場合、どのような展開になるか、永田町の自民党関係者は次のように解説する。
「総会では総裁選挙前倒しを実現するため、まず党則を変えなければならない。党則変更には出席議員の2分の1の賛成が必要となるが、この結論の出し方が難しい。挙手で決めるわけにはいかないだろうし、投票になれば『記名』か『無記名』かによって結果が大きく変わる。うちの先生は記名投票なら反対、無記名なら賛成。表立って『麻生降ろし』には動けないが、内心は『いい加減辞めてくれ』。しかし、なぜこうも結束を乱して、有権者が離れていくようなことばかりやるんだろう」。
さらに、党則変更案に過半数が得られなかった場合は、「地方選6連敗の責任をとって幹事長が辞任し、事態を収拾することになる」(前出・自民党関係者)という。この場合、離党してあくまでも反麻生を貫く議員が出てくることも予想されるという。
両院議員総会は開催要求があってから7日以内に開かれるが、麻生首相は21日の週の解散を明言している。20日(月)は「海の日」で祝日となっており、18日(土)からは事実上の3連休となる。選挙を前に、地元での活動の時間が1分1秒でも欲しい状況からして、総会開催はなんとしても17日(金)ということになるであろう。
党則改正に必要な、出席議員の過半数が確保できるかどうかは投票方法によって変わるが、幹事長交代だけは既定事項となりつつある、ということになる。もちろん無記名での投票になれば、党則改正→総裁選前倒し→総裁交代、という流れになる。
しかし、党内の議員の多くが、「麻生辞めろ」に傾いてきていることだけは事実である。内部の都合でコロコロと党の顔を変えてきたツケが、ここにきて一気に回ってきたということなのだが、どちらに転んだとしても勝利へのシナリオとはなりそうにない。
【秋月】
*記事へのご意見はこちら