政権奪取を視野に入れる民主党は、マニフェスト選挙を標榜し「税金のムダづかいをやめる」と断言する。意気込みだけは伝わってくるが、こと福岡市では疑問に感じている市民が少なくない。
民主党が単独推薦して誕生した吉田宏福岡市長は、自身の選挙公約を反故にしたうえ、多くの市民の反対を無視して不便な人工島に「こども病院」移転を強行する。民主党所属の市議らで構成する福岡市議会の会派「民主・市民クラブ」も、患者家族や市民の思いを踏みにじり、巨大公共事業を応援する。あげく、総選挙直前になって独りよがりの市政報告やアンケートをばら撒く始末だ(記事1、記事2、記事3参照)。
吉田市長が進めるこども病院や青果市場の人工島移転にともなう事業費は、合わせて400億円前後になる。さらに、交通アクセス整備のためと称し、両施設の完成には間に合わないと分かっている都市高速延伸も進めており、この費用に300億円から400億円の金が費消される。市民の反対を無視して進められるこれらの事業は「ムダづかい」ではないのか。政令市福岡において、人工島事業は「ムダな公共事業」の代名詞である。吉田市長や民主市議団はその人工島事業に一度もストップをかけることがなかったばかりか、「こどもの命」を守りたいという市民の声さえ聞こうとしなかった。
霞ヶ関を相手に喧嘩する姿勢は評価するが、より身近な政治である市政や県政の場で真逆の事をやっていては、民主党の主張が色あせて見えるのは当然だろう。少なくとも福岡市では、民主党が「ムダづかいをやめさせた」という成果をあげた記憶はない。全国的な問題となった「政務調査費」の問題にしても、同党福岡市議団の代表は、その使途の不透明さを追及されながら、取材拒否で逃げたままだ。
マニフェストを掲げ、税金のムダづかいに終止符を打つ、というのであれば、推薦した市長や地方組織の相反する行動には断固とした姿勢を示すべきであろう。それができないようでは民主党の主張そのものが矛盾することになる。
【市政取材班】
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