<郵政の非効率性は糾されたのか?>
郵政グループは他社にも大量のバイクや車を発注している。郵便事業では「自家用乗用車4WD」4両を日産自動車が980万円で落札したのを皮切りに、「事業用軽自動車(ハイルーフ)2WD」220両をスズキが1億7,100万円、「同4WD」180両も同社が1億4,500万円、「自家用乗用車(ハイブリット)2WD」46両はトヨタが9,300万円でそれぞれ落札している。ほかに原動機付自転車(三輪車タイプ)寒冷地仕様」などというのもある。
これらは一般競争入札による最低価格での調達だが、それ以外に従来から使用されていたものらしく、「互換性」を理由とする随意契約の調達がある。いずれも調達先はホンダモーターサイクルジャパンで、「自動二輪車(90CC)」6,450両が13億4,100万円、「原動機付自転車(50CC)」2,420両が5,800万円だ。
ゆうちょ銀行では、小型乗用自動車(1,500CC)」7両を日産が2,900万円、「軽自動車」108両をスズキが6,600万円。以下、かんぽ生命も郵政本社も、それぞれミニバンや小型車を調達しているが、いずれにしろ郵政全体でのバイク、車の調達は台数、金額ともに膨大。
「以前、余ったとしか思えないバイクや軽自がメーカーの倉庫で目撃されている。役所時代からの予算消化策が是正されているとは思えません」(OB)という見方も。
たしかに秋以降、年度末に発注されているものも少なくない。車以外にも目を見張らされるのが、前回「死蔵」の可能性を指摘した制服だ。郵便事業が年度末の今年1月29日に入札公告し、3月25、26日の入・開札の結果、「不落」で随意契約したのが5件。男子外務スラックス12万着(3億1,000万円)、作業ブルゾン8,800着(5,000万円)、レインジャケット5万8,000着(6億7,000万円)、防寒ジャケット2万4,000着(3億2,000万円)、ウィンドブレーカー5万着(1億3,000万円)といった具合だ。
同社では入札公告は同じく1月29日ながら、入・開札は新年度の今年4月に外務ブルゾン5万3,000着、半そでポロシャツ33万着、同長そでを46万着も調達している。郵便会社社員は約10万人、同程度の非社員がいたとしても調達数はどういう根拠によるものか。民営化ではたして非効率性が糾されたのか。いずれにしろ郵政各社の調達はさまざまな角度から精査されるべきだ。
~つづく~
恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。
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