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<マックスセミナー開催レポート>「政権交代」で日本はこう変わる! 民主党政治で活きる「政権交代」で日本業界、滅びる業界
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2009年7月30日 08:00

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衆議院解散から2日後の7月24日、西鉄イン天神(福岡市中央区)にて「マックスセミナー」が開催された。政治ジャーナリストの武冨薫氏を迎え、8月30日に実施される総選挙の結果を睨んだ政界・官僚の動きや、今後変わりゆくであろう業界の動向について、1時間半にわたって講義がなされた。ここでは、その内容をダイジェストで3項目に分けてお届けする。

自民党はどのようにして崩壊していったか

 今回の衆議院解散に至る経緯でみなさんが一番驚かれたのは、自民党のいわゆる「反乱軍」が、最後に腰砕けになってしまったあのドラマではなかったか。総裁交代という「クーデター」がわずか数日で消えてしまった裏で、何が一体起きたのか。
 麻生さんが両院議員総会の開催を拒絶するので、では総裁リコールができない「集会」にしようということで話がまとまった。そのときに官邸執行部は覚悟を決め、この集会で批判の声を上げた者は全員公認しない、小泉元総理がやったように除名する、という方針を決めた。それが反対陣営に伝わるや否や、「新党を作って戦うまでの準備はできていない。あくまで麻生さんに代わっていただきたい、という考え方でやっていただけ」(反対陣営の議員)と、みんなおよび腰になってしまった。
 小泉元首相のときは、郵政民営化というはっきりした政策の対立軸があった。あのとき、造反組を除名したのは「小泉さんの狂気だ」と言われたが、今回はそういう政策的対立軸もない。麻生政権自体がマニフェストをはっきりさせていない状況で、政策の対立軸が潜在的にはあっても、今、自民党のなかでそれが出てくることを怖がっているといわざるを得ない。反乱軍の言い分は「麻生さんじゃ勝てない」ということだけであり、それを鎮圧する官邸側も、全く後ろ向きの戦いというかたちになった。これで自民党は、最後の信用を一気に落とした。
 麻生さんが最後に、「俺がやめることには大義がないじゃないか」と言ったそうだが、たしかにその通りだ。自民党は去年の秋に、麻生さんで総選挙をやるということで担いだ。しかも、麻生さんが言っていた景気対策は、一応全部実現させた。いろんな失言や閣僚の不祥事はあったが、政策的な失政がはっきりとあったわけでもない。これはむしろ、自民党そのものの寿命が来たということであり、反乱軍の言い分には本当に大義がない。

総選挙の行方

 北海道、岩手、埼玉、愛知、滋賀、岡山などは、民主全勝の勢いが見られる。九州はなかなかそういうわけにはいかないが、民主党は「長崎は十分チャンスがある」と見ているようだ。
 自民党は、本当に頑張ったとしても小選挙区で90取れるかどうかと言われている。多少競り合っているところが勝ったにしても、全体で160〜170議席。自民党の選対の事務局を長くやられている幹部は、「170いくかどうか。下手すれば150だよ」と、相当な悲壮感が漂っていた。
 民主党は単独過半数が見えてきた、というところ。場合によっては260議席近く取れるのでは、という状況になってきている。しかし一方で、民主党の政策の中心となる中堅若手のなどは逆に、「政権を取れば、マニフェストを本当に実行しなければいけない。もしできなければ、次の選挙で自分たちが落ちてしまう」という、強い危機感を持つ。
 今までは公約で掲げても、適当にごまかせば何とか政権を維持することはできた。ただ、一旦政権交代が起きれば、自民党も民主党も、やらなければ次に負ける。今のところ、参院はギリギリだが、衆参で過半数を維持できる可能性が強い。民主党の政策はかなりの部分で実現されると見ておいたほうがいいだろう。

民主党政治になってどう変わるのか

 民主党のマニフェスト実行の過程で、どういう事態が日本の経済に起きるのか。
 まず大きいのは、国の総予算207兆円を組み替えて、社会保障、借金返済を除く70兆円を効率化するということ。一部の優遇装置の見直しを除いて増税はない、と言っているので、どこかの予算を削るしかない。そこで民主党が標的にしているのが公共事業と防衛費。つまり、官公庁を相手にしているところは大きく予算が削られていく可能性が高い。
 そうすると、まず影響が出るのが土木・建設業界であろう。ゼネコンや土木・建築業界は、公共事業に依存していたところは小泉改革以来不況が続いてきた。民主党が政権を取れば、さらに絞られる部分であり、相当大きな影響が出てくるのではないか。
 しかし民主党は、「緑の公共事業」という政策をひとつの考え方にしている。たとえば、ダムにしてもコンクリートのダムを作らず、森林を整備して、森林の持つ保水力を高めて水害防止や治水力を高めていくというもの。一方で、CO2の削減について、自民党が掲げた90年比8%削減という低い目標を、民主党は25%削減とした。そうすると、トヨタが「トヨタの森」事業を始めて植林しているように、電力会社などはどうしてもカーボンオフセットと言われる植林事業で自社のCO2削減目標を賄わなければならなくなる。つまり、公共事業費は減らされるが、CO2の削減目標と組み合わせて、企業のコストでかなりの部分を賄うことができないか、という考え方である。そうなると、林業分野はこれからの成長性が高いと言える。
 また、民主党のマニフェストで大きなインパクトを持つのが、高速道路の無料化と子ども手当ての創設。高速道路無料化は、かなり早い段階で実施される政策のひとつ。観光および流通革命を起こすのでは、という見方がされている。また、ロードサイドビジネスや産直ビジネス市場の拡大も見込まれる。一方、厳しくなるのは鉄道や航空業界。観光地間の競争も当然激化する。
 子ども手当ての創設は、東京都議選大勝の原動力になったと言われている。民主党の新人都議は、年間で一人当たり31万2,000円を訴えることは非常に大きかったと言っていた。これを実施すれば、年間5兆3,000億円ぐらいのチャイルド市場が生まれる。子供服の市場が1兆円、就学前の保育サービスが800億円の市場と言われているので、5兆3,000億円という市場拡大が及ぼす影響は凄まじい。すでに学資保険を中心とした保険業界や保育サービス、子ども向けの英語塾などの業界で動きが見られる。ほかに、国公立の高校の授業料を無料にすることも盛り込まれており、この影響で公立高校の難易度が上がるという見方がある。
 最後に中小企業政策だが、法人税の引き下げや役員給与の損金不算入などは自民党もかなり議論してきたところだが、一番大きいのは、中小企業の資金繰りが非常に厳しいなかで、金利をしっかり払えば、元本の返済を5年程度猶予しようという資金繰り支援の徳政令的政策。これは今後の議論となる。もうひとつは連帯保証制度の見直しである。中小企業が融資を受けるとき、会社の経営者だけでなく連帯保証人を義務付けられる。二重、三重の担保および連帯保証を取るのは、金融機関のまともな競争ではないという考え方で、連帯保証制度の大きな見直しということを言っている。これによって、中小企業の与信審査や分析、ソフトや与信部門をやっている企業コンサルタントへの需要も高まる。
 金融機関の貸し渋り対策、貸し剥がし対策と同時に、元本猶予、連帯保証人制度の改革が早急に実施されれば、中小企業にとって大きなメリットになるのではないか。

【烏丸 哲人】

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