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上場企業を斬る

シノケングループ 研究(9)~ビジネスモデル崩壊の危機-その5
上場企業を斬る
2009年8月 4日 11:36

 不動産ファンド事業からの撤退を決断し、コア事業である個人向けアパート販売、投資用マンション販売、賃貸管理事業へ経営資源を集中する方針を打ち出した同社は、2010年3月期の連結業績見通しとして、売上高200億円、営業利益6億円、経常利益1,000万円、当期利益▲1億7,000万円を予想している。果たしてこの数字は達成可能なのだろうか。08年、09年の業績推移を見ながら検証してみよう。
 同社の売上高のうち、不動産販売事業が大きな比重を占めることは、以前に述べた通りである。これを2010年予想に当てはめると、165億円程度は不動産販売事業で売上高を確保する計算になる。
 07年度の不動産販売事業の内容は、受注実績が298億円、販売実績(売上高)が169億円、受注残が279億円。08年度では受注実績が181億円、販売実績(売上高)が269億円で受注残が191億円。09年度の受注実績は3億7,231万円だが、これはキャンセル分がマイナス計上されているためであり、マイナス分を除いた実質の受注実績は46億円である。販売実績(売上高)は118億円、受注残は76億円だ。この状況で今期165億円の売上高を計上するためには、単純計算で前期の2倍程度の受注を行い、それをすべて今期中に販売完了しなければならない計算になる。予想達成は、極めて厳しいものだと言わざるを得ない。

不動産販売事業の受注推移
※09年の受注実績は、高層賃貸住宅のキャンセルによる大幅なマイナスのため。それらを除外した低層賃貸住宅とワンルームマンションの合計は、約46億円。また、10年3月期の165億円は弊社推定値。

~つづく~

【緒方 克美】


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