福岡2区は、政権選択選挙を象徴する選挙区として全国から注目されている。ここで自民党が議席を失うなら政権交代が現実のものになるとも言われる。
自民党元副総裁で山崎派の領袖でもある山崎拓氏に、民主党から稲富修二氏が挑む。福岡市のなかでも人口の流動化が著しい2区(中央区、南区、城南区)は、典型的な都市部の選挙区で、かつていくつものドラマを生んだ。追い風に乗る民主党が議席を奪取できるかどうか、注目される。
12期のベテラン山崎拓氏に対抗する稲富修二氏は、2005年の総選挙では11区から出馬。07年には福岡県知事選にも出馬、今回初めて2区からの出馬となる。
山崎拓氏は、03年総選挙で民主新人の古賀潤一郎氏に苦杯をなめた。しかし、古賀氏の経歴詐称による議員辞職で、05年4月の補欠選挙では民主党を破り、山崎氏が返り咲く。そして同年9月の「郵政選挙」では、民主党新人に4万票の差をつけて議席を守った。
一方、民主党は05年の反省から社民党、連合と協議を進め、稲富氏に一本化。共闘態勢を確立した。
地盤がない稲富氏は、07年秋の擁立決定から自転車で選挙区を走り回り、各所で辻立ちやミニ集会を重ねてきた。街頭演説はゆうに3000回を超え、公民館集会も100回を超えたという。
「税金の使い道を変える!」稲富氏の主張は明確だ。役所が使い道を決めるのではなく、国民が決める。そのためには官僚機構を変えることが必要であり、政権交代が必要だと訴える。民主党への追い風のなかでも稲富氏は気を緩めていない。政権交代にとっての大きな壁の存在を感じるとさえ言う。人の心の中にある「だれがやっても政治は変わらない」というあきらめこそが、乗り越えなければならない壁なのだと訴える。
注目の2区は、山崎氏のほかに共産党から小林解子氏、幸福実現党から佐竹秀夫氏が立候補の予定だ。今度はどのようなドラマが展開されるのだろう。
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