同社の09年3月期連結の決算内容を、バランスシート(B/S)を中心に見てみよう。ちなみにキャッシュフロー(以下CF)は営業CF26億6,109万円、投資CF▲1億5,783万円、財務CF▲41億7,454万円、純CF▲16億7,128万円である。分かりやすく言えば、16億円余りのキャッシュ(現金同等物)が前期に減少したということだ。
これをB/Sを基に説明する。まず目に付くのが現預金の減少、売掛債権の減少、不動産事業支出金の減少と販売用不動産の増加である。次に短期・長期の有利子負債の減少、純資産の減少が目立つ。まず売掛債権の回収が進んだことでキャッシュは増える。不動産事業支出金と販売用不動産はともに棚卸資産であり、これがトータルで減少したことで、これまたキャッシュが増える。約40億円の大幅な当期赤字となったが、こうした債権および棚卸資産の現金化が進んだことで営業CFは26億円余りのプラスとなった。これに対して有利子負債は長短合わせて38億円程度減少しており、これで財務CFが▲41億円余りとなった。返済が進んだということである。つまり、資産の現金化で26億円余りのキャッシュが入ってきたが、借入金返済を中心に41億円余りのキャッシュが減少し、さらに1億5,000万円余りを投資へ回したことで、現預金が16億円余り減少したということだ。
結果、09年3月期での現預金がわずか約2億3,000万円の状況になっている。
【緒方 克美】
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