<リピーター囲い込みに失敗>
この状況を「無策の結果」と評するならば、最大の問題は、前述のとおり国内でリピーターを確保できなかったことに尽きる。04年度以降、とくに東南アジアからの海外観光客に目を向けてきた。しかし、外国人観光客数は所詮「水もの」の数字と言わざるを得ず、やはりこれまでハウステンボスを支えてきたファミリエ(年会員・旧「モーレンクラブ」)会員の囲い込みに失敗したと言っても過言ではないだろう。
ハウステンボス周辺地の背景人口からいえば、現在約8万人いるという年会員の存在は非常に大きいはずだ。しかし、それを上手に活用できるだけの策が打てていたかどうかについては疑問が残る。関係者によると、社内からも以前からさまざまな改善案が出ていたという。今回報道されたようなこと以前に、その時点で正解か不正解かは別にしても、打つべき手立てはいくらでもあったのでなはいだろうか。
04年以降とられた策は、ハード・ソフトの両面で運営規模を縮小する傾向が強く、集客に対する積極策はあまり見受けられない。シーズナルのイベントも、春先の「チューリップ祭」と冬の園内イルミネーションおよびカウントダウンの『定番的』イベント以外は精彩を欠き、今年10月に新規投入の予定だったイベントも来年まで延期となっている。
また、取材を通じて感じたことは、入場料の必要性である。固定費を維持するために致し方ないとはいえ、そのコンセプトから考えても、大人1人で通常3,200円(パスポートで5,600円)という比較的高めの価格設定には疑問が残る。
入場料に関しては、その価格設定や必要性を以前から内外問わず意見があったものの、入場料収入は総売上の約30%を占めると言われており、現状ではなかなかすぐに手をつけられるものではないだろう。しかし、リピーター確保の面からも、また園内での消費需要喚起の面からも、今後見直すべきポイントの1つと言えよう。
最終的にどういう策をとるにせよ、今の段階で野村PF側にどれだけの青写真があるか、ということではないだろうか。今でも「打つべき手はいくらでもある」と関係者からの声は聞かれるが、野村PF側と現場の「尺度」は明確に違う。今回の支援要請は、ある程度の青写真があってこそ、と願いたい。
【大根田康介・烏丸 哲人】
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