前回まで「偽装事件」の躓きから、MSCBの発行により株価の急速な下落に見舞われ、さらに「サブプライムローン」「リーマンショック」が追い討ちをかけた負の連鎖を検証してきた。
物件の大型化、不動産ファンドへの売却に傾斜したことで急速に業績を伸ばしたものの、市況の悪化により内在化していたリスクが表面化。借入金に依存したハイリスクのビジネスモデルだったことを露呈したのである。結果として、09年3月期決算では大幅な特別損失の計上を余儀なくされ、金融機関への返済も一部延滞することになり、継続企業の前提に関する疑義(GC)も付されている。
個人向けアパート販売が同社の基盤を形成した本来の事業であり、今後の打開策として原点回帰とも言える方針を打ち出しているが、果たして実現できるのだろうか。今回からはその可能性について検証してみたい。
「土地がなくても、自己資金が少なくても、アパート経営はできる!!」が、同社の個人向けアパート販売のキャッチフレーズだ。それまでのアパート経営と言えば、遊休地を所有する地主に対して資産活用として勧めるのが一般的だったが、サラリーマンや公務員をターゲットとして木造低層アパートを建築するところに同社の目新しさがあった。だが投資的な観点から見れば、様々な矛盾を抱えるビジネスモデルではないだろうか。
(つづく)
【緒方 克美】
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