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特別取材

(株)筑邦銀行頭取 佐藤 清一郎氏(3)
特別取材
2009年8月 7日 08:00

地域の活性化には広い視野が必要
特色を活かした地域の発展に貢献する


<地域の特色を出した住みやすい街づくり>

 ―久留米ではバブルはないでしょうから、不動産や金融倒産の心配は少ないと思います。問題は中心部などの空洞化ではないかと思いますが、そのあたりについては?

 佐藤 これは個人的な見解ですが、やはり人が交わる場所が栄えるものです。人が集まってくるようにしないと厳しいでしょうね。例えば東京都や福岡市のように、もっと他地域の方や外国の方に門戸を開くというか、ホスピタリティーの充実など、よいところは見習うべきだと思います。とはいえ、何でも二番煎じではいけませんから、「久留米らしさ」をもっと出すべきですね。医療・教育・文化、それに筑後川周辺の風景であるとか。筑後川周辺がテムズ川のようになればいいですね。そういうものを活かして、住みやすい街にしていったらよいのでは、と考えています。
 先日、太陽光を活用したエコマンションの分譲を手がけられている社長さんのお話をうかがいましたが、「自分だけ儲けようとしても失敗する。お客に儲けてもらおう、得してもらおうとすると、回りまわって気づいたら成功する」との発想はすばらしいと思いましたね。そういった発想や心意気をもった経営者が増えていくと、自然と地域も活性化していくのではないでしょうか。

 ―地域活性化とくれば、地元ブランドの売り出し方が重要になってくると思います。県南エリアであれば、酒造メーカーなどもっと全国にうって出なくては、とも感じますが?

 佐藤 酒造関係もそうだと思います。各種地元ブランドのほか、農業、医療・環境・観光の分野にも注目しています。スイスにも5年ほどいたのですが、ここで目の当たりにしたのが観光産業にどれだけ真剣に力を入れているか、ということでした。県南でも、筑後川流域や柳川、日田などを周遊しやすいような移動手段・宿泊施設の整備であるとか、観光客に対しての利便性をもっと追求していく必要を感じます。
 環境であれば、スイスでは80年代から家庭菜園なんかが盛んになり、週末には家族で楽しんだり、夏時間の季節であればワインなど飲んで語らったりと、自然と戯れながら過ごすライフスタイルが取り入れられていました。筑後地方は、こういった豊かさを実現できる地域だと思っているのです。

~つづく~

【文・構成:八戸 智幸】

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