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上場企業を斬る

シノケングループ 研究(13)~内在するリスクと矛盾―その3
上場企業を斬る
2009年8月10日 10:18

 年収500~800万円のサラリーマンや公務員をターゲットとしたビジネスモデルは、現在のように金融危機から不動産市況悪化につながった局面では、成立させることが難しくなる。不動産ビジネスに対して、金融機関が一斉に引き締めを行なうからだ。それでも富裕層がターゲットのビジネスモデルであれば、オーナーの資金力によっては成立するケースもあるだろう。自己資金が豊富で借入金に頼る割合が少なければ、金融機関にとってはリスクが軽減される。同時に値下がりした不動産を狙えば、高い利回りも期待できるため、自己資金で投資に踏み切るオーナーもいるだろう。
 だが、同社のビジネスモデルは、その前提が異なっている。年収500~800万円の層が、金融が引き締められた時期に年収の10倍に匹敵する借入をすることは非常に難しい。また、そうした時期では先行きの不透明感から投資意欲そのものが減退し、ビジネスモデルを成立させることが困難なものとなる。前年度での同社の受注の大幅な落ち込みには、こうした背景があることは間違いないだろう。
 受注確保のために、無理をしてでも契約を成立させようとすれば、必然的に同社のバックアップローン(自社での貸付)を増やさざるを得ない。そうなると今度は、バックアップローンの貸し倒れリスクが高まることは必然だ。ビジネスモデルが四面楚歌の状況に落ち込んでいくのである。
 受注の落ち込みから財務内容を大幅に毀損し、自力での資金調達が難しくなった同社は、ビジネスモデルを維持するために、(株)九州リースサービスとの提携を選択した。

~つづく~

【緒方 克美】


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