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特別取材

福岡ひびき信用金庫理事長 谷石 喜一氏(1)
特別取材
2009年8月10日 08:00

銀行とは違う役割を担う信用金庫
地元中小企業を最後まで支援する守護者

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 2002年のペイオフ解禁の流れのなか、翌年に5つの信用金庫が合併して誕生した新生・福岡ひびき信用金庫。現在、九州で最大の資金量を誇る同信金は、今期で6年目を迎えた。かたちだけではない地域密着の金融機関として、中小企業の支援だけではなく、地域の横のつながりをつくり、地域社会の発展させていく事業を次々と打ち出している。北九州の産業界の状況、景気の見通しを含め、同信金理事長の谷石喜一氏にインタビューした。

(聞き手:柳 憲一郎)

所在地:北九州市八幡東区尾倉2-8-1
設 立:2001年11月
出資総額:36億3,400万円

<九州地区の産業界>

 ―日経平均株価が一時1万円台を回復しましたが、実体経済は、特に中小企業の厳しい状況は続いています。北九州地区の産業の状況はいかがでしょうか。

 谷石 大枠でお話しますと、リーマン・ショックで皆さんが経験なさったことは、よく表現上では「100年に一度の」と言われていますが、私が思いますに、今回の全てについて、実は皆さん今まで経験されたことがない事態であると考えています。実際に100年前の大恐慌を経験された経営者の方はいらっしゃらないわけですし。誰かが「100年に一度」と言われた瞬間に、皆さん、そのように錯覚されたのだと思います。実は、昨年の9月以降は日本経済にとって『異常な状況』に落ち込んでいきました。私どもとしましては、特異な状況に入っていったと分析しておりました。その特異な状況というのは、日本経済そのものが1月-3月を振り返ってみても、その状況をわずか半年前に予想できてないじゃないかという思いが非常に強いです。したがって、3月の時点でも、半年前にその惨状は夢にも思わなかった流れがきていたのではないでしょうか。そして、現在4月-6月ですが、やっと株価そのものは政府の相次ぐ経済対策の後押しもあって持ち直したように見受けられます。
 しかし一方で、世界経済や日本経済を北九州経済に置き換えてみると、やはり3月時点の状況を日本経済が予想できていなかったことが、北九州でも予想できていたかといえば、薄々は気づかれていたんじゃないかと思います。実際に北米へ行かれた方が、「北米では自動車が売れていない」という話をされていました。しかし、北九州は「自動車生産150万台構想」などの言葉に湧き上がっていました。実際には100万台を超えていなかったのですが、2008年は部品の地元調達率が60%前後まで上がっていたので、浮かれていたとは言えませんが、先の状況が見えていなかったのではないでしょうか。これまではムードに酔って設備投資なども積極的に行ない、確保して積み上げた部品在庫数の結果、今となってみると、それが大きな反省材料となってしまい、北九州全体が非常に厳しい状況になっているのです。
 倒産件数を前年と比べてみますと、数は少ないながらも増えています。緊急保証制度によって、年末・年度末の手当てとして約300億円、2,000件ちかくの融資を行ないました。昨年の12月や今年1月は、1年間で出すような金額を1カ月間に融資するような勢いでした。この数年間、北九州の産業界は調子が良かったのですが、日本経済と同じような流れが、北九州でも起こっており、楽観視できません。

 ―そういったなか、到津支店が大健闘されている話を耳にしました。

 谷石 支店長をはじめてとして、現場で話し合って計画を立てて動いた結果の賜物だと思います。先ほど申し上げた通り、年末・年度末の資金手当てにおいて、いち早く動いたことが大きかったですね。状況が状況だけに、不良債権の山になるんじゃないかという懸念のご意見もありましたが、地元のためにも取り組まなければいけません。
 実は昨年、私どもは不良債権等を前倒しで処理して、赤字を出しました。関係各位のご指導により、前期処理分を前々期に前倒ししたのです。これは、今回の特異な状況への備えを考えてのことでしたが、おかげで昨年11月以降の緊急融資にも対応できましたし、今年3月までの前期は赤字を計上せずに済みました。普段より中小企業を中心にお取り引きしていますと、産業を支えている中小企業の動きがすぐにわかります。上の方からの締め付けが下の方に来ると、「上は相当きついんだろうな」と大方の予想がつきます。今年の1月頃には昨年の予想が間違いではなかったな、と感じました。それは私ども単独での予想ではなく、ご指導いただいた方々の言葉を真摯に受けとめたのが、全ての結果に出たのだと思います。皆さんのお声を聞いていたおかげです。

~つづく~

【文・構成:八戸 智幸】

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