福岡7区などの激戦区を取材すれば「公共事業がなくなる」という建設業界の不安の声が聞こえてくる。民主党が「ムダな予算を削る」と連呼すればするほど、業界は不安に駆られるという。
九州では、諫早湾干拓事業や川辺川ダムなど、巨大公共事業の必要性をめぐって争いが続く。福岡県内に限っても福岡市の人工島、八女の朧大橋、有明海沿岸道路など、ムダな公共事業との批判を招いてきた工事は少なくない。問題は、事業の推進を通して政・官・業の癒着を生み、過度の税金投入が行われることだろう。
民主党政権が誕生すれば、そうした大きな公共事業がなくなり、建設業界は生き残れなくなるとの声もあがる。
一方、「大型公共事業は大手ゼネコンが儲かるだけで、地場の建設業者は潤わない。なくなっても困らない。むしろ、大手には関係のない生活密着の仕事を増やしてもらったほうがいい」と冷静な見方をする業者も存在する。
公共事業のあり方で問題なのは、一握りの政治家や官僚の力が巨額な税金を動かすという一点に尽きよう。本当に必要な事業を止める必要はない。
1955年に自由民主党が誕生してから、建設業界は票と金だけでなく選挙運動員まで提供して自民党政治を支えてきた。今度の衆院選ではそのことの是非も問われているのかもしれない。業界が政治とどう向き合うか、真剣に考えるべき時期に来ているのである。
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