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上場企業を斬る

シノケングループ 研究(14)~内在するリスクと矛盾―その4
上場企業を斬る
2009年8月11日 11:50

 シノケングループと(株)九州リースサービスの提携が報じられた。報道によれば、シノケングループが木造アパートの建築に適した用地を見つけ、九州リースサービスが用地を購入し、シノケングループが木造アパートを開発する。購入の限度額は5億円で、アパートの売却益は両社で分けるという。このスキームを活用すれば、シノケングループは用地の取得資金を金融機関からの借入に頼らず開発できるメリットが生まれる。自社で用地を取得するわけではないので、木造アパート開発に伴うリスクは大幅に軽減することになる。
 一方で、当然ながらデメリットも生まれる。用地取得を他社に依存することで、利益を分配する必要が生じるため、利益率の低下を招くことになる。九州リースサービスからすれば、よほど用地取得で無理をしない限りリスクは少なく、シノケンがアパートを売却すれば利益を享受できる旨味がある。
 8月10日、シノケングループは2010年3月期第1四半期の決算内容を発表した。売上高32億5,200万円(前年同期比▲34%)、経常損失4億4,900万円、四半期純損失は4億2,100万円。対前年同期比で減収減益である。金融機関からの借入金返済の一部を延期していた状況は、対象物件を7月24日に販売したことで解消されている。だが、依然として継続企業の前提に関する疑義が注記されている状況だ。

~つづく~

【緒方 克美】


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