有明海沿岸道路のすばらしさは、実際に走ってみればよく分かる。「ただ(無料)の高速道路」と言われるだけのことはあって、大牟田から柳川までの開通区間23キロちょっとでその利便性を十分実感できた。しかし、現在も続く沿岸道路の工事現場を眺めると、その規模と風景に違和感を覚えてしまう。ここまで税金をかける必要があるのかということだ。
大牟田市民に話を聞くと、沿岸道路については「便利」だと評価する声が多い。しかし、そのあとに「だけど」「でも」という言葉がつづく。大牟田市内の商店街で出会ったご婦人は「沿岸道路ができて便利にはなりましたよ。(大牟田から)柳川まで20~30分かかっていたのが10分でいける。でも、道路はもういい」。
やはり暮らしに目を向けて欲しいということですかと聞くと「古賀さん(自民党・古賀誠元幹事長)は、立派な道路を造ってくれた。だから古賀さんを応援してきた。だけど、私たちの生活は良くならない。もっと他に税金使って、と言いたい」。
商店街の入り口には「井筒屋」が撤退した跡地が広がっており、シャッターを閉めたままの建物が点在する。大牟田市内を回れば、他でもシャッターばかりが目につくのだ。
多額の血税を投入して道路建設が進められても、肝心の「街の活力」はなくなる一方なのだという。バランスを欠いた公共事業で、本当に未来への展望が開けるのか疑問である。人通りの少ない商店街のなかで、古賀誠元幹事長の集会を告知するポスターがひときわ目を引いていた。
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