<ドラックストア業界の再編>
ドラッグストア業界は右肩上がりの成長を遂げてきた。日本チェーンドラッグストア協会の調べによれば、2000年度に2兆6,628億円あった売上高は、08年度には5兆2,336億円とほぼ倍増。12年度には10兆円の大台に乗ると予想している。百貨店の売上高が7兆円台だから、それを軽く上回る。他の小売業の成長が鈍化するなかで、数少ない成長株がドラッグストア市場なのだ。
業界に深い歴史があるわけではない。業界団体の日本チェーンドラッグストア協会が設立したのは、10年前の99年と新しい。
全国に乱立していたドラッグストア業界の再編が始まるのは、06年に改正薬事法が制定された以降。生き残りの目安は売上高2,000億円。中堅ドラッグストア同士の経営統合や売上高300億円規模の企業を買収するなど、業界再編が活発化した。
中堅各社は、巨大化する(株)マツモトキヨシホールディングス(千葉県松戸市、松本南海雄会長)、拡大するイオンドラッグストア連合に対抗して、ナショナルチェーン化を旗印に合従連衡を続けてきた。
<5グループに集約か>
今回の法改正は、ドラックストアの再編の流れを加速する。再編を主導するのは、セブンやイオンの2大流通企業。セブンはセブンヘルスケア、イオンはハピコムを持つ。セブンは当面、イトーヨーカ堂、セブン‐イレブン・ジャパンなどグループ内店舗での販売に力を入れるが、イオンはM&Aの強化だ。
イオンが昨年新たにメンバーに加えたシミズ薬品(株)(京都市、未上場)は、マツモトキヨシHDと提携関係にあった会社だ。08年9月、イオンが出資するウエルシア関東(株)と(株)高田薬局が経営統合し、グローウェルホールデングス(株)(東京都千代田区)を設立。さらに11月、グローウェルは寺島薬局(株)(茨城県つくば市)を子会社に組み入れた。
今後は、ナショナルチェーン化を進めるドラッグストア大手と、集客力の強いスーパーとの一騎打ちになる。セブン系のセブンヘルスケア、業界3位のツルハHDを擁するイオン系のハピコム、業界首位のマツモトキヨシHD、業界2位のスギHD(旧スギ薬局)、業界4位(株)カワチ薬品(栃木県小山市、河内伸二社長)と5位(株)サンドラッグ(東京都府中市、才津達郎社長)のカワチ・サンドラッグ連合に集約されることになろう。
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【日下 淳】
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