銀行とは違う役割を担う信用金庫
地元中小企業を最後まで支援する守護者
<金銭の貸借だけではない、地域一体となる存在>
―九州経済産業局から委託を受けて「地域力連携拠点事業」を実施されていますが、かなり効果を上げられていると聞いています。
谷石 今年で2年目になりますが、九州の信用金庫では大川信用金庫さんと当信金が認定を受け、『産・学・官』連携でお客様のご相談を1ストップで解決していこう、という試みです。1年目は150社前後のご相談があり、数件が具体的に始動しました。内容は多岐にわたりますが、新事業や特許商品の開発、税金問題に承継問題、M&Aなどが多いですね。地元では商工会議所がやっていますが、この事業での連携先としては、九州工業大学や北九州市立大学などの4つの地元大学があり、こういった活動をしていますと、各学長さんとお話する時もほかのいろいろな情報交換ができ、企業と学生などの新たなつながりが生まれてきています。これは地元としては、いろんなことがやりやすくなり、うれしい限りです。
―また6月より新たに、ぐるなびさんとの連携で「日本全国しんきん旨いもん地図」という展開をされています。お客様などの反応はいかがでしょうか。
谷石 その展開の前に、今年2月に当信金でビジネスフェアを開催しました。九州北部の信用金庫で、こういったフェアを開催するのは初めてで、その際に約110社のご参加がありました。中小企業の方々にブースを出展していただき、食品業界をはじめ、電機業界や建設業界、アパレル、家具、車など、さまざまな業界の企業が集まりました。参加企業の多くが、ほかのイベントなどにも参加経験がおありのようでしたが、商売になるような「かゆいところに手が届く」運営、特にビジネス・マッチングを重視したのが功を奏し、非常に反響があり、各企業に大変喜んでいただけました。そのなかには、お寿司屋やお菓子屋さん、お味噌屋さんなど、本当に地元で商売をされている方々も大勢いらっしゃいました。私どもは、徹底的に地元企業をギリギリまで支援する心づもりですし、今年の方針でも「地元のためにできること」と掲げている通り、とにかく地元のために取り組まなきゃいかん、と行動しているわけです。
そこで今回のぐるなびさんとの取り組みですが、すでに明太子など数件が登録・掲載されており、全国からの引き合いも入っています。この企画は当信金が単独で行なっているわけではなく、信金中金などの全国レベルでの取り組みの流れで実施しています。お客様からの評判も上々で、喜んでいただいています。まだスタートしたばかりではありますが、個別でのお話も何件かうかがっています。
そのほかにも、「福岡ひびき経営者賞」といった賞を設け、技術革新や商品開発など中小企業経営者を表彰したり、「福岡ひびき経営大学」では大学教授や企業経営者に講師となっていただいて講演会を開くなど、地域と地元企業や産業が活性化するような複合的な試みを行なっています。
銀行さんのようなスマートな融資などはできませんが、ギリギリまで中小企業の経営支援を行なうのが、我々信用金庫の役目ではないか、と考えています。80有余年の歴史で、金融融資だけではない地元密着のお付き合い。それを象徴するのが、1,500人にものぼる「ひびしん同友会」という、お取引先の方々の組織です。一方では講演会を聞きに来てくださる当信金のファンであり、一方では講師として協力してくださる提携先であったりと、そういった方々の支えがあっての福岡ひびき信用金庫なのです。預金と融資の関係だけでは、銀行さんとの違いがまったくありません。これからの夏の季節、各地でお祭りやイベントが盛りだくさんですが、そういったところには年間で50回以上、のべ2,000人の従業員が出ています。力も出し、汗も出す。融資でお金を出すだけではない、地域の発展に欠かせない存在でなければならない、と常に銘じています。
【文・構成:八戸 智幸】
福岡ひびき信用金庫HP:http://www.fukuokahibiki.co.jp/*記事へのご意見はこちら
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