15日、沖縄県と厚生労働省が、新型インフルエンザに感染した57歳の男性が死亡したことを公表した。男性は心筋梗塞の既往症があったほか、慢性腎不全で人工透析を受けていたという。直接の死因は新型インフルエンザが招いた肺炎とされる。
これまで指摘されてきたとおり、慢性疾患を抱えた患者は重症化する可能性が高いことが証明された形となった。専門家からは、既往症や慢性疾患を持つ人に対しては、季節性のインフルエンザより新型のほうが重症化リスクが高いとも言われており、改めて対応が問われる。
今年6月、福岡市の博多保健所が「管轄」を理由に医療機関からの遺伝子検査を拒否、感染拡大を見逃すという大失態を演じた。その後、事実関係についての説明や市による謝罪もないまま、厚労省の方針転換に従い、新型インフルエンザへの対応を医療機関任せにしている。
福岡市保健福祉局をはじめ各保健所には、6月のドタバタ劇を教訓に、もう一度態勢の立て直しをお願いしておきたい。特に今回の死亡例からも明らかなように、新型インフルエンザ感染者は、以前のように「発熱相談センター」に電話で相談した後に医療機関を決めるのではなく、自らの判断で受診する病院を選んでいる。人工透析を行っている病院や循環器科にも、ストレートで感染患者が訪れているのだ。感染拡大が確実視される秋以降、本当に現在の診療態勢でよいのか、問い直すことも必要だろう。
国の方針に追随するだけではなく、政令市福岡として新型インフルエンザへの対策を講じることを提言しておきたい。
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