株式会社 健やか総本舗亀山堂代表 小坂 達也氏
創業から3年後に「にがり」ブームはピークを迎える。長崎地区でテレビ番組を買い取り、キャンペーンを行なった。特集番組の直後には注文が殺到。1~2時間電話がひっきりなしにかかってきた。最も売り上げた時期は、1日で2,000万円を売り上げたこともあった。書店にはにがりの本が数多く並んだ。小坂氏自身も出版し、6万部を売り上げ、この部門としては第3位となる実績を上げた。
ところが、2004年に思わぬ落とし穴にはまる。国内の知的障がい者施設の入所女性に誤ってにがりの原液を飲ませたことで、低酸素症を引き起こし死亡させてしまう事故が発生した。
これまでの追い風が突然逆風に変わり、「にがり」に対する世間の視線は厳しいものとなった。それまで効果があるとされた「ダイエット効果」なども根拠がないとして、公的な検査機関から烙印を押されることとなった。
長崎で1番、日本で1番を目指してがんばってきたつもりだったが、現実は「ムリ・ムラ・ムチャ」な経営をしていたことに、このとき初めて気付かされた。
しかし時すでにおそく、工場を含めて設備投資をしてしまっていたなかで、月間の返済は約800万円もあるのに、売り上げはピーク時の20分の1となる500万円に落ち込んでしまっていた。
(つづく)
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