マイクを握る候補者の前に集まった「支持者」たちは、目の前の候補者に投票するのが普通である。立ちくらみがしそうな夏の暑さの中、わざわざ演説会場まで足を運んでいるのだ。しかし、取材を進めるとこれまでにない有権者の思惑が浮かんできた。
「頼まれたけん」「会社が世話になっとる」「付き合いですたい」多くの企業関係者が消極的な参加理由を述べる。その場にいることが本意ではない、と言いたいらしい。
ある地域では「この辺りは、ほとんどの家が誰を支持するか決められている。どこで聞いても同じ答えですよ。おかしな言動をすれば『村八分』になる。でもね、腹の中はちがうんですね。『投票日にはおぼえておけよ』『30日(投票日)には思い知らせてやる』、そう思ってる人も多い。力の選挙はもう終わった。いやだけど個人演説会には行きますよ。それだけで十分でしょう」。
『面従腹背』を合言葉にしている人たちもいるのだという。有権者も利口になったものだ。
候補者の演説に手をたたく「支持者」たちの姿がかすんで見えた。
【総選挙取材班】
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