鳩山氏の動員力

　「選挙が始まってから毎日、演説を聞きに行ってますよ。大変です」というのは自民党・鳩山氏支持の建設会社の社員。この鳩山氏の動員力は相当なもので、8月19日夜、久留米市内のホテルで行なわれたブリヂストンの関係者らを集めた個人演説会には、2,000人を超す支援者が集まった。立ち見が出る程の盛況ぶりである。ブリヂストンの石橋家といえば鳩山氏の母親の実家であり、創業者・石橋正二郎は鳩山氏の祖父にあたる。ブリヂストンは久留米市に3万坪の広大な工場を有し、そこで働く社員は約1,400人。下請・協力会社まで合わせると数千人にのぼる。

　ブリヂストンだけで久留米市にもたらす税金は約10億円、下請・協力会社まで合わせれば数十億円の税金を納めているという。当然、久留米市にとっては、ブリヂストンはなくてはならない存在であり、鳩山氏に対する期待も大きい。演説会には久留米市長の代理で副市長も来賓として招かれていたほどだった。前回2005年の衆院選では、鳩山氏が古賀氏に対して約２万票の差をつけて勝利しており、ちまたでは「組織票で明暗が分かれた」とも言われていた。

一般市民の多くから支持を受ける古賀氏

　一方、対する民主党の古賀一成氏は18日の公示日には各地で出陣式。同日午後の小郡市の会場には、入りきれないほどの支持者を集めた。その多くは、お年寄り、女性などを中心とした一般市民。鳩山陣営の演説会参加層とは対照的だった。
　古賀氏は自身が地元の人間であることをアピールする。政策にもうきは市から佐賀空港までをつなぐ「筑後川スーパー堤防道路」の実現、中心市街地の活性化など地域に根ざした政策を掲げる。
　これに対して鳩山氏は「正直者が馬鹿をみない社会にするために正義を実現する」とし、日本郵政のかんぽの宿問題を中心に国政の問題点を取り上げる。祖父の時代から久留米市のために尽力している事をアピールするのがやっとで、地域とのつながりには希薄さが感じられる。

　今回の選挙ではこの他、幸福実現党から佐藤浩氏が出馬しているが、共産党からの出馬はない。「前回選挙で、共産党の票が1万数千票あったが、この票がどのように動くかにも注目が集まっている」と選挙関係者は語る。選挙は残り10日、今後の展開に注目が集まる。

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